急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)~(4)より、區(qū)分2~區(qū)分3が2件、區(qū)分3が6件該當する。よって最も多い區(qū)分を採用し、區(qū)分3とした。新たな情報源の使用及び舊分類時からガイダンス文書の改訂があったことから區(qū)分を変更した。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50値:93 mg/kg(雄)、55 mg/kg(雌)(PATTY(6th, 2012)、NTP TR552(2008)、ACGIH(7th, 2001)) (2)ラットのLD50値:110 mg/kg(雄)、54 mg/kg(雌)(PATTY(6th, 2012)、NTP TR552(2008)) (3)ラットのLD50値:20-50 mg/kg、56 mg/kg、70 mg/kg(PATTY(6th, 2012)) (4)ラットのLD50値:35-110 mg/kg(MAK/BAT(2005))
経皮
【分類根拠】 (1)~(3)より、1件が區(qū)分1、1件が區(qū)分1~區(qū)分2、1件が區(qū)分2に該當する。よって有害性の高い區(qū)分を採用し、區(qū)分1とした。
【根拠データ】 (1)ウサギのLD50値:16 mg/kg(PATTY(6th, 2012)、NTP TR552(2008)) (2)ウサギのLD50値:88 mg/kg(PATTY(6th, 2012)、NTP TR552(2008)) (3)ウサギのLD50値:16-190 mg/kg(MAK/BAT(2005))
吸入:ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液體である。
吸入:蒸気
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分3とした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度(15,198 ppm)の90%よりも低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。新たな情報源の使用により、舊分類から區(qū)分を変更した。
【根拠データ】 (1)ラットのLC50値(2時間):2,000 mg/m3(872 ppm)(4時間換算値:617 ppm)(MAK/BAT(2005)) (2)ラットのLC50値(1時間):1,040–1,200 ppm(4時間換算値:520-600 ppm)(PATTY(6th, 2012)、NTP TR552(2008)、ACGIH(7th, 2001))
吸入:粉じん及びミスト
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分1Bとした。
【根拠データ】 (1)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(2件)において、原體適用で刺激及び表層壊死が、10%溶液適用で軽度の刺激性(mild)が見られたとの報告がある(PATTY(6th, 2012)、ACGIH(7th, 2001))。 (2)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(OECD TG404と同等の試験方法)で本物質を1分間適用したところ、8日後に軽度の壊死が見られ、5分若しくは15分間適用したところ8日後に重度の壊死が見られたとの報告がある(BUA 213(1999)、REACH登録情報(Accessed Jul. 2018))。
【參考データ等】 (3)EU CLPでは本物質をSkin Irrit. 1Bに分類している。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 眼損傷性を示す情報(1)と刺激性を示す情報(2)があるが、前者を優(yōu)先して區(qū)分1とした。
【根拠データ】 (1)ウサギを用いた眼刺激性試験で本物質原液を適用したところ、顕著な痛みと刺激が生じ、角膜損傷は不可逆的だったとの報告がある(PATTY(6th, 2012))。
【參考データ等】 (2)ウサギを用いた眼刺激性試験で本物質10%溶液を適用したところ、軽度の刺激があったが數(shù)日以內(nèi)に回復したとの報告がある(PATTY(6th, 2012))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 本物質は皮膚感作性がないことを示す情報(1)も得られているが試験の詳細が不明であり、區(qū)分外を判斷できる十分な証拠も得られていないため、分類できないとした。なお、証拠の重みづけを再検討することで、舊分類から區(qū)分を変更した。
【參考データ等】 (1)モルモットを用いた皮膚感作性試験の結果、皮膚感作性を示さなかったとの報告がある(ACGIH(7th, 2001)、PATTY(6th, 2012))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)、(2)より、ガイダンスに従い分類できないとした。なお、舊分類とは異なる情報源を追加し見直し、分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)In vivoでは、吸入ばく露によるマウスの末梢血を用いた小核試験において、陰性(雄)、又は不明瞭(雌)との結果(NTP TR552(2008)、PATTY(6th, 2012))、経口投與によるマウスの骨髄を用いた小核試験において陰性の結果が得られている(PATTY(6th, 2012)、MAK/BAT(2005))。 (2)In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性、又は陽性(NTP TR552(2008)、PATTY(6th, 2012))、哺乳類培養(yǎng)細胞を用いた染色體異常試験で陽性の結果が得られている(PATTY(6th, 2012)、MAK/BAT(2005))。
発がん性
【分類根拠】 発がん性に関して、利用可能なヒトを対象にした報告はない。 (1)、(2)より、実験動物2種にみられた腫瘍は概ね良性腫瘍であったことから、區(qū)分2とした。なお、新たな情報源を用いて分類結果を見直し、分類區(qū)分を付與した。
【根拠データ】 (1)ラットに本物質蒸気を2年間吸入ばく露した発がん性試験において、高用量(64 ppm)群の雄で鼻腔呼吸上皮の腺腫が3/50例にみられ、頻度は背景データの範囲より高く、また同群の雄で単核球性白血病の頻度増加が報告されている(NTP TR552(2008)、PATTY(6th, 2012))。 (2)マウスに本物質蒸気を2年間吸入ばく露した発がん性試験において、雌雄ともに鼻腔呼吸上皮腺腫の頻度の増加傾向があり、高用量(32 ppm)群で有意な増加がみられた(NTP TR552(2008)、PATTY(6th, 2012))。また、高用量群の雄でハーダー腺の腺腫の頻度増加がみられた(NTP TR552(2008))。 (3)NTPは本物質は雄ラット及び雌雄マウスに対し、発がん性のある程度の証拠があると結論した(NTP TR552(2008))。 (4)國內(nèi)外の分類機関による既存分類結果はない。
生殖毒性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分3(気道刺激性)とした。なお、舊分類とは異なる情報源を追加して見直し、標的臓器を気道として分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)本物質は気道に対し刺激性を有するとの記述がある(NTP TR552(2008)、PATTY(6th, 2012))。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
【分類根拠】 (1)~(5)より、経口及び吸入経路で肝臓及び腎臓、(3)~(5)の吸入経路では加えて呼吸器が標的臓器と考えられ、いずれも區(qū)分1の用量範囲で認められたことから、區(qū)分1(呼吸器、肝臓、腎臓)とした。なお、舊分類の情報源に新たな情報源を加えて分類を見直し、呼吸器を標的臓器として追加した。
【根拠データ】 (1)ラットに28日間強制経口投與した試験において、45 mg/kg/day(90日換算:15 mg/kg/day、區(qū)分2の範囲)以上で、肝細胞傷害(核の肥大、空胞化など)、GPT?アルカリホスファターゼ?グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性の増加、コリンエステラーゼ活性の阻害がみられた(環(huán)境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート(2008))。 (2)ラットに13週間強制経口投與した試験において、15 mg/kg/day(區(qū)分2の範囲)で肝臓への影響(肝臓重量増加、肝細胞空胞化、膽管増殖、巨赤血球増多)、腎臓への影響(腎臓重量増加、尿細管上皮細胞の巨大核増加)がみられた(環(huán)境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート(2008)、PATTY(6th, 2012)、IRIS(1990))。 (3)吸入経路ではラットに本物質蒸気を3ヵ月間にわたり吸入ばく露(7時間/日、5日/週、投與日數(shù)59日間)した試験において、80 ppm(ガイダンス値換算:0.14 mg/L、區(qū)分1の範囲)で、肝臓及び腎臓に重量増加に加えて、変性様変化がみられた(ACGIH(7th, 2001)、PATTY(6th, 2012))。 (4)ラット又はマウスに本物質蒸気を14週間吸入ばく露(6時間/日、5日/週)した試験において、、16~64 ppm(ガイダンス値換算:0.03~0.12 mg/L、區(qū)分1の範囲)でラットの鼻腔に呼吸上皮の過形成、同扁平上皮化生、臭嗅上皮の壊死がみられた。またマウスには鼻腔の化膿性炎癥、呼吸上皮の扁平上皮化生?硝子滴変性、臭嗅上皮の萎縮?壊死?腺組織の過形成、鼻甲介の萎縮がみられた(NTP TR552(2008)、PATTY(6th, 2012))。 (5)ラットとマウスに2年間吸入ばく露した試験において、ラットで16 ppm以上、マウスで8 ppm以上の濃度(ガイダンス値換算:0.015~0.03 mg/L、區(qū)分1の範囲)で両種ともに13週間吸入ばく露試験と同様の変化が鼻腔の呼吸上皮及び嗅上皮にみられた(NTP TR552(2008)、PATTY(6th, 2012))。
吸引性呼吸器有害性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。