急性毒性
経口
【分類根拠】
経口LD50は得られなかったが、(1) より、ラットでの概略の致死量が3,725 mg/kgであるとの記述から、區(qū)分に該當しないとした。
【根拠データ】
(1) 経口投與によるラットの概略の致死量: 3,725 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、Patty (6th, 2012))
経皮
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における液體であり、區(qū)分に該當しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
(1)、(2) より、區(qū)分に該當しないとした。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (1,056,662 ppm) の90%よりも低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (30分間): 130,000 ppm (4時間換算値: 45,962 ppm) (産衛(wèi)學會許容濃度提案理由書 (1987))
(2) ラットのLC50 (30分間): 856 g/m3 (152,356 ppm) (4時間換算値: 53,866 ppm) (EHC 113 (1990))
(3) 本物質の蒸気圧: 803 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 1,056,662 ppm)
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1)~(4) より、區(qū)分に該當しないとした。
【根拠データ】
(1) 本物質のウサギ及びラットの皮膚及び眼に対する適用はごく軽度の可逆性の刺激性を示し、重篤な影響はない (ACGIH (7th, 2001)、GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))。
(2) ラットの皮膚に本物質を1~2回/日、5日/週、5~6週間適用した試験で軽度の刺激性が認められた (EHC 113 (1990)、Patty (6th, 2012))。
(3) ラットの皮膚に本物質を3回/日、6日/週、2ヵ月間適用した試験で刺激性はみられなかった (MAK (DFG) vol.1 (1991))。
(4) 眼に入ると発赤、痛み、皮膚に付くと皮膚の乾燥を生じる (MOE初期評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1)、(2) より、區(qū)分に該當しないとした。
【根拠データ】
(1) 本物質のウサギ及びラットの皮膚及び眼に対する適用はごく軽度の可逆性の刺激性を示し、重篤な影響はない (ACGIH (7th, 2001)、GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))。
(2) ウサギの眼に本物質を1回/日、5日/週、1ヵ月間適用した試験で軽度の刺激性が認められた (EHC 113 (1990))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
(1) の記載はあるが、データ不足のため分類できない。
【參考データ等】
(1) デオドラントスプレーに対しアレルギー性皮膚炎の既往癥を有する患者3人に対して、本物質によるパッチテストを行ったところ、全例で本物質に対して軽度から強度の皮膚反応を生じた。なお、既往癥のない15人の対照群では皮膚反応はみられていない (EHC 113 (1990))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
データ不足で分類できない。
【根拠データ】
(1) in vivoはデータなし。
(2) in vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性 (MAK (DFG) vol.1 (1991)、EHC 113 (1990)、ACGIH (7th, 2001))、哺乳類培養(yǎng)細胞を用いた形質転換試験、遺伝子突然変異試験で陰性の報告がある (EHC 113 (1990)、ACGIH (7th, 2001))。
発がん性
【分類根拠】
利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1)、(2) よりACGIHの分類結果に基づき區(qū)分に該當しないとした。
【根拠データ】
(1) 國內外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2001)) に分類されている。
(2) 雌雄のラット及びマウスに本物質を78週間強制経口投與し、投與期間終了後ラットは33週間、マウスは13週間観察した発がん性試験において、両種とも腫瘍の発生は認められなかったが、ラットでは生存率が低く陰性の結果は決定的なものではないとしている。マウスに対しては本物質は発がん性を示さなかった (NTP TR106 (1978)、ACGIH (7th, 2001))。
生殖毒性
【分類根拠】
(1)、(2) より、母動物毒性用量で重篤な胚?胎児影響がみられ、ガイダンスに従い區(qū)分2とした。なお、データを再検討し舊分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) 雌ラットの妊娠6~15日に吸入ばく露した発生毒性試験において、母動物に顕著な中毒癥狀がみられる用量 (36,000 ppm) で、胚致死率の増加、體重増加の遅延、奇形の頻度の増加 (特に心臓と大動脈弓の異常) がみられた (MAK (DFG) vol.1 (1991))。この母動物の中毒癥狀について、MOE初期評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010) には眼瞼下垂、流涙、流涎等がみられたとしている。
(2) 雌ウサギの妊娠6~18日に吸入ばく露した発生毒性試験において、母動物毒性 (詳細記載なし) がみられる用量 (36,000 ppm) で、胚死亡の増加、 胎児重量低値、胎児の81.6%に胸腰部の過剰肋骨がみられている (MAK (DFG) vol.1 (1991))。