急性毒性
経口
ラットLD50値として、7件のデータ [5000 mg/kg(環(huán)境省リスク評価 第1巻 (2002))、5580 mg/kg(EU-RAR (2003))、5900 mg/kg、6.4g/kg、7.53g/kg(以上3件 EHC 52 (1985))、7.0g/kg(JECFA 518 (1981))、7300mg/kg (ATSDR (2000))]は全て區(qū)分外に該當する。なお、若齢動物のデータは分類に採用しなかった。GHS分類:區(qū)分外
経皮
ラットのLD50値は12000 mg/kg(ACGIH (2007))、ウサギのLD50値は14100 mg/kg(ACGIH (2007))または12400 mg/kg(EU-RAR (2003))と報告され、いずれも區(qū)分外に該當する。 GHS分類:區(qū)分外
吸入:ガス
吸入 (ガス):GHSの定義における液體である。GHS分類:分類対象外
吸入:蒸気
吸入 (蒸気):ラットの4時間ばく露によるLC50値として、6件のデータ[7460 ppm、3319-7646 ppm、8762 ppm(以上3件 EU-RAR (2003))、4000 ppm、8000 ppm、8800 ppm(以上3件 PATTY (5th, 2001)]はいずれも區(qū)分4に該當する。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(37368 ppm)の90%より低いため、ミストがほとんど混在しない蒸気として気體の基準値を適用した。 GHS分類:區(qū)分4
吸入:粉じん及びミスト
吸入 (粉塵?ミスト):データなし。GHS分類:分類できない
皮膚腐食性及び刺激性
ウサギ7匹に試験物質(zhì)0.5 mLを4時間の半閉塞適用した試験(Annex V, method B2)において、適用後72時間までに全動物が軽微~重度の紅斑、軽度の浮腫を示し、7日目には全動物に明瞭~重度の紅斑、5匹に軽微~軽度の浮腫が観察され、中等度の刺激性(moderately irritating)と評価された結(jié)果(EU-RAR (2003))に基づき、區(qū)分2とした。なお、ウサギ6匹を用いた別の皮膚刺激性試験(OECD TG 404)では、データの詳細が不明であるが軽度の刺激性(slightly irritating)との報告(EU-RAR (2003))、また、モルモットに本物質(zhì)原液0.5 mLを24時間の閉塞適用した試験では、痂皮形成がみられ、5日後に皮膚の厚い鱗屑層と皮膚表面に軽度の裂け目が観察されたとの報告(EU-RAR (2003))もある。 GHS分類:區(qū)分2
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギ6匹に試験物質(zhì)0.1 mLを適用した試験(OECD TG 405、GLP)において、適用1時間後に結(jié)膜の発赤、浮腫、排出物が全動物で観察され、24、48時間後も癥狀は持続したが、その後減弱し72時間後には発赤のみ、7日目には全て消失し、軽度の刺激性(slight eye irritation)と結(jié)論されている(EU-RAR (2003))ことから、區(qū)分2Bとした。なお、ウサギを用いた別の眼刺激性試験(OECD TG 405)では、刺激性の総合評點MMAS(AOIに相當)は9(最大値110に対し)(ECETOC TR 48(2) (1998))との報告もあり、このスコアは區(qū)分外に相當する。また、ヒトへの影響として、誤って本物質(zhì)を眼にかけられた労働者が、結(jié)膜の刺激性や角膜の損傷などの眼上皮に一過性の障害を示したが、48時間以內(nèi)に完全に回復した(EHC 52 (1985))との報告がある。GHS分類:區(qū)分2B
呼吸器感作性
データなし。GHS分類:分類できない
皮膚感作性
モルモットのマキシマイゼーション試験(EU guideline B6、GLP)において、50%溶液による惹起処置に対し、20匹中1匹に反応が認められたのみで陽性率は5%(1/20)の結(jié)果から、この試験で本物質(zhì)は皮膚感作性物質(zhì)ではないと結(jié)論付けられた(EU-RAR (2003))こと、さらに、ヒトにおいて、トルエンは皮膚感作性物質(zhì)ではない(PATTY (5th, 2001))との記載もあることから、區(qū)分外とした。 GHS分類:區(qū)分外
生殖細胞変異原性
マウスに経口または吸入投與した優(yōu)性致死試験(生殖細胞in vivo変異原性試験)において2件の陰性結(jié)果(NITE初期リスク評価書 .87 (2006))、マウスまたはラットに経口、吸入または腹腔內(nèi)投與した骨髄細胞を用いた染色體異常試験(體細胞in vivo変異原性試験)において5件の陰性結(jié)果(NITE初期リスク評価書 .87 (2006)、EHC 52 (1985)、EU-RAR (2003))、マウスに経口または腹腔內(nèi)投與した骨髄細胞を用いた小核試験(體細胞in vivo変異原性試験)において2件の陰性結(jié)果(NITE初期リスク評価書 87 (2006)、NTP DB (Access on Apr. 2012))、がそれぞれ報告されている。以上より區(qū)分外とした。なお、ラットに皮下投與した骨髄細胞を用いた染色體異常試験で陽性結(jié)果の報告があるが、、トルエンの純度、および異常の判斷基準が明確でないため評価困難である(NITE初期リスク評価書 87 (2006))と記載されていることから、採用しなかった。さらにin vivo試験では、遺伝毒性試験としてマウスまたはラットに腹腔內(nèi)または吸入投與した姉妹染色分體交換試験で陰性(NITE初期リスク評価書 87 (2006))または陽性(EHC 52 (1985))の結(jié)果、一方、in vitro試験ではエームス試験で陰性(NITE初期リスク評価書 .87 (2006)、NTP DB (1979))、マウスリンフォーマ試験で陽性(NITE初期リスク評価書 87 (2006))、染色體異常試験および小核試験では陰性または陽性の結(jié)果(NITE初期リスク評価書 87 (2006)、NTP DB (Access on Apr. 2012))が報告されている。 GHS分類:區(qū)分外
発がん性
IARCの発がん性評価でグループ3(IARC 71(1999))、ACGIHでA4(ACGIH (2007))、U.S.EPAでグループD(IRIS (2007))に分類されていることから、「分類できない」とした。なお、ラットおよびマウスに103週間吸入ばく露(6.5 hours/day、ラット 0, 600, or 1200 ppm、マウス0, 120, 600, or 1200 ppm)した発がん性試験では、両動物種とも雌雄で発がん性の証拠は認められなかった(NTP TR 371 (1990))と報告されている。 GHS分類:分類できない
生殖毒性
ヒトにおいて、トルエンを高濃度または長期吸引した妊婦に早産、児に小頭、耳介低位、小鼻、小顎、眼瞼裂など胎児性アルコール癥候群類似の顔貌、成長阻害や多動など(NITE初期リスク評価書 87 (2006)、IARC 71 (1999))報告され、また、1982~1982年にカナダで300例の奇形について行われた疫學調(diào)査の結(jié)果、芳香族溶媒、特にトルエンの職業(yè)ばく露歴を持つ女性の間では先天奇形増加のリスクが高かった(ACGIH (2007))ことが報告されている。さらに、溶媒のばく露を一定期間モニターされていた女性のコホートで自然流産の調(diào)査(ケース?コントロール研究)が行われ、少なくとも週3回トルエンにばく露された女性の間で自然流産のオッズ比が増加し、トルエンばく露の危険性がを示された(IARC 71 (1999))。以上のヒトでのばく露知見に基づき、區(qū)分1Aとした。また、「トルエンは容易に胎盤を通過し、また母乳に分泌される」(SIDS(J) (Access on Apr. 2012))との記載により、「追加區(qū)分:授乳に対する又は授乳を介した影響」とした。なお、動物試験では、ラットに交配前から妊娠期間にかけての期間、または妊娠期間中の吸入ばく露により胎仔死亡の胚?胎仔死亡の増加、自然分娩した場合には生存出生仔數(shù)の有意な減少が認められている(EU-RAR (2003)、NITE初期リスク評価書 87 (2006))が、催奇形性は報告されていない。 GHS分類:區(qū)分1A、追加區(qū)分:授乳に対する又は授乳を介した影響
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
ヒトで750 mg/m3を8時間の吸入ばく露で筋脫力、錯亂、協(xié)調(diào)障害、散瞳、3000 ppmでは重度の疲労、著しい嘔気、精神錯亂など、さらに重度の事故によるばく露では昏睡に至っている(IARC 47 (1989))。また、本物質(zhì)を含むシンナーを誤って経口摂取し死亡した15件の事例報告があり、大量のトルエンを摂取し30分後に死亡した51歳男性の場合、死因はおそらく重度の中樞神経系抑制であった(IRIS tox. Review (2005))と報告されている。本物質(zhì)を含む塗料シンナーを約1クォート摂取した46歳男性の事例では、重度の腹痛、下痢、胃出血と共に重度の中樞神経系の抑制を示したが、36時間の維持療法後に回復を示した(IRIS tox. Review (2005))。以上の外にも本物質(zhì)の中樞神経系に対する影響は多數(shù)報告され、區(qū)分1(中樞神経系)とした。一方、ヒトで本物質(zhì)は高濃度の急性ばく露で容易に麻酔作用を起こし、本物質(zhì)蒸気により意識を喪失した労働者の事例が多いことは周知である(EHC 52 (1985))ことに加え、動物試験ではマウスまたはラットに吸入ばく露後に麻酔作用が報告されている(IARC 47 (1989))ことから、區(qū)分3(麻酔作用)とした。さらに、低濃度(200 ppm)のばく露されたボランティアが一過性の軽度の上気道刺激を示した(PATTY (5th, 2001))との報告により、區(qū)分3(気道刺激性)とした。 GHS分類:區(qū)分1(中樞神経系)、區(qū)分3(気道刺激性、麻酔作用)
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
トルエンに平均29年間曝露されていた印刷労働者30名と対照者72名の疫學調(diào)査研究で、疲労、記憶力障害、集中困難、情緒不安定、その他に神経衰弱性癥狀が対照群に比して印刷労働者に有意に多く、神経心理學的テストでも印刷労働者の方が有意に成績が劣った。また、トルエン嗜癖者に運動失調(diào)、共同運動障害、手足の振せん、大脳のびまん性萎縮が認められ、MRI検査では大脳、小脳、脳幹部のびまん性萎縮、中樞神経系全般の灰白質(zhì)と白質(zhì)の差異の不鮮明化等が認められた(産業(yè)醫(yī)學 36巻 (1994))。特に高濃度曝露で中樞神経系の機能障害と同時に脳の萎縮、脳の白質(zhì)の変化などの形態(tài)學的変化も生じることが報告されている(産業(yè)醫(yī)學 36巻 (1994))。その他にも本物質(zhì)ばく露による中樞神経系障害の発生は數(shù)多くの報告があり、區(qū)分1(中樞神経系)とした。一方、嗜癖でトルエンを含有した溶剤を吸入していた19歳男性で、悪心嘔吐が続き入院し、腎生検で間質(zhì)性腎炎が認められ腎障害を示した癥例(産業(yè)醫(yī)學 36巻 (1994))、トルエンの入った溶剤を飲んでいた26歳の男性で、急性腎不全を來たし、トルエンの腎毒性とみなされた癥例(産業(yè)醫(yī)學 36巻 (1994))、さらに、嗜癖でトルエンを吸入し四肢麻痺で入院した17歳女性が尿細管性アシドーシスと診斷され、四肢麻痔はトルエン中毒による腎尿細管障害の結(jié)果生じたものとされた癥例(産業(yè)醫(yī)學 36巻 (1994))など、多くの事例報告がある。以上より、區(qū)分1(腎臓)とした。なお、動物試験では、ラット、マウスに経口または吸入による反復投與試験において、ガイダンス値範囲內(nèi)に相當する用量で悪影響の所見は報告されていない(NITE初期リスク評価書 87 (2006)、EU-RAR (2003)、EHC 52(1985))。また、ヒトで、トルエンのばく露で肝障害の指標である肝酵素の上昇がみられたとする報告は1件あるが、逆にみられなかったとする報告もあり(EU-RAR (2003))、動物では、ラットおよびマウスによる経口および吸入による反復試験で、共にガイダンス値範囲內(nèi)で肝臓への悪影響は報告されていないことから肝臓は分類の根拠にしなかった。 GHS分類:區(qū)分1(中樞神経系、腎臓)
吸引性呼吸器有害性
炭化水素であり、動粘性率は0.86 mm2/s(40℃)(計算値:粘度0.727mPa?s(Renzo(1986))、密度0.8483g/mL(CRC (91st, 2010))として計算)である。よって區(qū)分1とした。また、ヒトで、吸引性の液體トルエンが肺組織と直接接觸すると、重度の刺激、即ち「化學肺炎」を引き起こすとの記載(DFGMAK-Doc.7 (1996))もある。GHS分類:區(qū)分1