急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)~(3)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50:9,100 mg/kg(SIAR (2000) 、MOE 初期評価 (2003)、AICIS IMAP (2013)、Canada CMP Screening Assessment (2011)) (2)ラットのLD50:> 7,380 mg/kg(SIAR (2000)) (3)ラットのLD50:> 20,000 mg/kg(SIAR (2000))
経皮
【分類根拠】 (1)~(3)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)ウサギのLD50:> 8,670 mg/kg(SIAR (2000) 、AICIS IMAP (2013)、Canada CMP Screening Assessment (2011)) (2)ウサギのLD50:15,029 mg/kg(SIAR (2000) 、Canada CMP Screening Assessment (2011)) (3)ウサギのLD50:16,300 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液體であり、區(qū)分に該當しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分に該當しない。なお、ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度(1.7×10-5 mg/L)より高いため、ミストと判斷した。新たな知見に基づき、分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)ラットのLC50(エアロゾル、4時間):> 5.7 mg/L(OECD TG 403、GLP)(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022)、AICIS IMAP (2013))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(24時間閉塞、72時間観察)において、パッチ除去後に軽微な紅斑がみられたが、72時間後までに軽減した。皮膚一次刺激指數(PDII)は0.83であったとの報告がある(SIAR (2000)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、Canada CMP Screening Assessment (2011) 、AICIS IMAP (2013))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分に該當しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(72時間観察)において、眼刺激性影響はみられなかったとの報告がある(SIAR (2000)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、Canada CMP Screening Assessment (2011)、AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。 (2)ウサギを用いた初期の眼刺激性試験において、軽微な刺激性がみられた(SIAR (2000)、Canada CMP Screening Assessment (2011))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、(1)の知見は一般的な試験法によるものでないため、分類には用いなかった。
【參考データ等】 (1)モルモット(n=10)を用いたDraize試験において、感作性反応はみられなかったとの報告がある(SIAR (2000)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、Canada CMP Screening Assessment (2011)、AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)In vivoではマウスの骨髄細胞を用いた小核試験(① 単回又は2日間腹腔內投與、5,000 mg/kg、② 3日間腹腔內投與、最大2,000 mg/kg)では、いずれも結果は陰性であった(SIAR (2000)、AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。 (2)In vitroでは、ネズミチフス菌(TA98, TA100, TA1535, TA1537, TA1538)を用いた復帰突然変異試験及びマウスリンパ腫細胞(L5178Y)を用いたマウスリンフォーマ試験で代謝活性の有無に関わらず陰性の報告がある(SIAR (2000)、MOE 初期評価 (2003)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
発がん性
【分類根拠】 (1)~(4)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた2年間混餌投與による発がん性試験では、高用量(25,000 ppm)まで雌雄ともに投與に関連した腫瘍の発生頻度増加は認められなかった(IARC 77 (2000)、SIAR (2000)、MOE 初期評価 (2003)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、AICIS IMAP (2013))。 (2)國內外の評価機関による既存分類結果として、IARCでグループ3(IARC 77 (2000))にに分類されている。なおIARCは、(3)のマウス肝発がん性はペルオキシオーム増殖物質受容體α(PPARα)の活性化に起因するが、この作用はげっ歯類特異的でヒトには當てはまらない証拠があるとして、グループ3に分類した(IARC 77 (2000))。 (3)マウスを用いた2年間混餌投與による発がん性試験で、高用量(25,000 ppm)群の雄で肝細胞腺腫、低及び高用量(12,000及び25,000 ppm)群の雌で肝細胞がんの発生頻度の増加がみられた(IARC 77 (2000)、SIAR (2000)、MOE 初期評価 (2003)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、AICIS IMAP (2013))。 (4)その他、國內外の評価機関による既存分類結果として、EPAでC(possible human carcinogen:ヒト発がん物質のおそれがある物質)(IRIS (1992))に分類されている。その理由としてEPAは、①ヒトのデータがない、②雌マウスの肝臓腫瘍の発生頻度増加、③優(yōu)性致死試験の陽性以外、遺伝毒性の証拠がない、④構造相関(DEHP等2-エチルヘキシル側鎖を持つ非遺伝毒性物質でペルオキシソーム増殖活性を有する物質との共通性)があるとしている(IRIS (1992)、AICIS IMAP (2013))。
生殖毒性
【分類根拠】 (1)、(2)より、母動物に一般毒性影響がみられる用量で同腹児數の減少がみられたが、(2)で発生影響は內臓?骨格変異や骨化遅延で分類根拠としない軽微な影響に限られた。一方、(3)~(6)より、雌の性機能?受胎能への影響が調査された結果、母動物毒性の強弱が明らかでない用量で卵巣機能への悪影響がみられ、それに起因すると考えられる性周期の延長、著床及び妊娠維持への有害影響等がみられた。以上より、區(qū)分2とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投與による一世代生殖毒性試験(OECD TG415相當、28~1,080 mg/kg/day)において、親動物に體重増加抑制(雌、妊娠期)、肝臓重量増加(雌雄)がみられる高用量(1,080 mg/kg/day)で、妊娠雌の一腹當たりの重量減少、児動物に低體重及び同腹児數の減少がみられたとの報告がある(SIAR (2000)、MOE 初期評価 (2003)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。 (2)ラットを用いた混餌投與による発生毒性試験(GLP、28~1,080 mg/kg/day)において、母動物毒性(體重及び摂餌量の低下)がみられる高用量(1,080 mg/kg/day)で、同腹児數の減少、骨格変異の頻度増加がみられたとの報告がある。明らかな母動物毒性がみられない中用量(170 mg/kg/day)以上で內臓変異(尿管の拡張、捻じれ)がみられたとの報告(MOE 初期評価 (2003)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、AICIS IMAP (2013))と、これらは統計的有意差のない所見とする報告(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))がある。また、中及び高用量群で骨化不全がみられたが、內臓及び骨格奇形の増加はみられなかったとの報告がある(SIAR (2000)、AICIS IMAP (2013))。 (3)ラットを用いた強制経口投與による発生毒性試験(200~800 mg/kg/day)において、最高用量(800 mg/kg/day)まで母動物に一般毒性影響がみられず、中用量(400 mg/kg/day)以上で出生児に生後生存率の低下が、高用量(800 mg/kg/day)群で母動物に妊娠期間の延長、出生児に低體重(出生時及び生後13日まで)がみられたとの報告がある(NITE 初期リスク評価書 (2007)、AICIS IMAP (2013))。 (4)ラットを用いた強制経口投與による反復投與生殖発生毒性試験(enhanced OECD TG407、40~1,000 mg/kg/day)において、高用量(1,000 mg/kg/day)群で、雌に閉鎖卵胞(4/10例)がみられ、うち2例に性周期の延長がみられ、本物質は卵巣機能をかく亂することが示唆されたとの報告がある(AICIS IMAP (2013))。 (5)ラットを用いた経口投與による反復投與毒性試験(200~2000 mg/kg/day)において、中用量(1,000 mg/kg/day)以上で卵巣毒性がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2013)、Canada CMP Screening Assessment (2011))。 (6)雌ラットを用いた経口投與による性機能?受胎能への影響評価試験(200~2000 mg/kg/day)において、中用量以上で性周期の延長、著床後胚損失率の増加、高用量(2,000 mg/kg/day)では加えて著床率及び生存胎児數の減少と著床前胚損失率の増加がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2013)、Canada CMP Screening Assessment (2011))。
【參考データ等】 (7)ウサギを用いた混餌投與による発生毒性試験(40~160 mg/kg/day)において、最高用量(160 mg/kg/day)まで母動物、胎児ともに異常はみられなかったとの報告がある。用量設定のための予備試験では、300 mg/kg/dayで母動物に顕著な全身毒性(體重減少)がみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed 2022))。 (8)(3)において、本物質は構造類似のフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)とは異なり、雄児動物に抗アンドロゲン作用による所見はみられなかったとの報告がある(NITE 初期リスク評価書 (2007)、AICIS IMAP (2013))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分3(麻酔作用)とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)マウスを用いた単回経口投與試験では、1,250及び2,500 mg/kg(區(qū)分2及び區(qū)分に該當しない範囲)以上で嗜眠(雄2/5例及び雄1/5例)、5,000 mg/kg(區(qū)分に該當しない範囲)で嗜眠(雄5/5例、雌3/5例)、不安定歩行がみられたとの報告がある(SIAR (2000)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。 (2)ラットを用いた単回経口投與試験において、10,000 mg/kg(區(qū)分に該當しない範囲)以上で嗜眠、後肢麻痺、衰弱、死亡がみられたとの報告がある(SIAR (2000)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。
【參考データ等】 (3)ラットを用いた単回吸入ばく露試験(エアロゾル、4時間)において、5.7 mg/L(區(qū)分に該當しない範囲)で死亡例はなく、不規(guī)則及び促拍呼吸、逃避行動、立毛がみられたとの報告がある(SIAR (2000)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 (1)、(2)より、経口経路では區(qū)分に該當しない。ただし、他経路での毒性情報がなくデータ不足のため分類できない。
【根拠データ】 (1)ラット及びマウスを用いた混餌投與による14、21、90日間反復経口投與試験において、2,500 ppm(ラット:189 mg/kg/day、マウス:451 mg/kg/day、區(qū)分に該當しない範囲)まで影響がみられず、ラットで6,300 ppm(476 mg/kg/day、區(qū)分に該當しない範囲)以上、マウスで3,100 ppm(559 mg/kg/day、區(qū)分に該當しない範囲)以上で體重増加抑制がみられたとの報告がある(SIAR (2000)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、AICIS IMAP (2013))。 (2)ラット及びマウスを用いた混餌投與による2年間発がん性試験において、25,000 ppm(ラット:1,250 mg/kg/day、マウス:3,750 mg/kg/day、區(qū)分に該當しない範囲)まで體重増加抑制/體重低値がみられたが、投與に関連した非腫瘍性変化はみられなかったとの報告がある(NITE 初期リスク評価書 (2007))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。