急性毒性
経口
GHS分類: 區(qū)分4 ラットのLD50値として、900 mg/kg、900 mg/kg、3,000 mg/kg、3,200 mg/kg (いずれもPATTY (6th, 2012)) の4件のデータが報告されている。うち2件が區(qū)分4、2件が區(qū)分外 (國連分類基準の區(qū)分5) に該當する。有害性の高い區(qū)分を採用し、區(qū)分4とした。
経皮
GHS分類: 區(qū)分外 モルモットのLD50値として、> 20 mL/kg (比重1.03より> 20,600 mg/kg) (PATTY (6th, 2012)) との報告に基づき、區(qū)分外とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液體である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。ラットに本物質の飽和蒸気 (約430 ppm、2.11 mg/L) を8時間吸入ばく露した試験 (4時間換算値: 608 ppm) で、死亡例はなかったとの報告 (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2009)) があるが、このデータのみでは區(qū)分を特定できないため、分類できないとした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (524 ppm) の90%よりも低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 區(qū)分2 本物質は皮膚刺激性を有するとの記述 (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2017)) から、區(qū)分2とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 區(qū)分2A ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質の適用24時間後の評価で強い刺激性を示したとの記述 (PATTY (6th, 2012)) から、區(qū)分2Aとした。なお、EU CLP分類において本物質はEye Irrit. 2 に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない モルモットを用いた皮膚感作性試験において、2件の試験 (ドレイズ変法及びマキシマイゼーション法) ともに陰性との報告 (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2009)) があるが、ヒトでの情報が得られなかったため、分類できないとした。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (IRIS (1988)、PATTY (6th, 2012))。
発がん性
GHS分類: 分類できない ヒト、実験動物ともに利用可能な試験データはないが、EPAがグループDに分類している (IRIS (1988)) ことから、分類できないとした。
生殖毒性
GHS分類: 區(qū)分2 本物質を雌ラットに交配14日前から哺育3日まで強制経口投與した結果、母動物には毒性癥狀として225 mg/kg/day 以上で尿による汚染、自発運動の低下、皮膚の蒼白化、被毛粗剛など、750 mg/kg/day で不安定歩行がみられた。児動物への影響としては750 mg/kg/day 群で出生率の低下、及び哺育4日までの生存児數の減少が認められた (ACGIH (7th, 2009)、環(huán)境省リスク評価第7巻:暫定的有害性評価シート (2009))。以上、母動物毒性発現量で次世代への影響がみられたことから、本項は區(qū)分2とした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 區(qū)分3 (気道刺激性、麻酔作用) ヒトでは本物質が19世紀に麻酔薬として用いられたとの記述がある (ACGIH (7th, 2001))。実験動物では、マウスの単回経口投與試験で、毒性癥狀は中樞神経系の抑制であったとの報告がある (ACGIH (7th, 2009)、PATTY (6th, 2012))。吸入経路では、マウスを用いて本物質の刺激性を評価する試験で、蒸気の短時間 (5分間) の吸入ばく露に反応した呼吸數の低下を測定したところ、RD50値は500 mg/m3であったとの報告がある (ACGIH (7th, 2009)、PATTY (6th, 2012))。以上より、區(qū)分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。なお、マウスの試験で本物質の皮下注射又は靜脈注射による投與は催眠効果を示し、腹腔內投與では400~500 mg/kgで明確な催眠効果が認められたとの報告がある (ACGIH (7th, 2009))。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 分類できない ヒトに関する情報はない。 実験動物については、ラットを用いた混餌による17週間反復経口投與毒性試験において、區(qū)分2のガイダンス値の範囲を超える1% (揮発のため0.845% (423 mg/kg/day)) においても影響はみられていない (環(huán)境省リスク評価第7巻:暫定的有害評価シート (2009)、ACGIH (7th, 2009)、IRIS (1988)、PATTY (6th, 2012))。また、ラットを用いた強制経口投與による4週間反復経口投與毒性試験において、區(qū)分2のガイダンス値の範囲內である75 mg/kg/day (90日換算: 23 mg/kg/day) 以上の雄で硝子滴腎癥、225 mg/kg/day (90日換算: 70 mg/kg/day) 以上で尿による汚れ、流涎、區(qū)分2のガイダンス値の範囲を超える750 mg/kg/day (90日換算: 233 mg/kg/day) で體重の低値、前肢握力低下、自発運動低下、不安定歩行の報告がある (環(huán)境省リスク評価第7巻:暫定的有害評価シート (2009)、ACGIH (7th, 2009))。このほか、マウスを用いた蒸気による14日間吸入毒性試験において、區(qū)分2のガイダンス値の範囲內である300 ppm (ガイダンス値換算: 0.23 mg/L) で気管に影響はみられていないとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。 以上、神経系に対する影響の報告があるが、區(qū)分2のガイダンス値の範囲を超える用量であった。 したがって、分類できないとした。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。