急性毒性
経口
ラットに対する経口投與のLD50 = 6,300 mg/kg(EU-RAR(2004))、8,000 mg/kg(EU-RAR(2004), PATTY(6th, 2012))に基づき、區(qū)分外とした。なお、23歳の男性労働者がおよそ10 gを誤飲したヒト事例において、嘔吐、めまい、數(shù)時(shí)間後に流涙、眼の痛みを生じ、重度の角膜炎を生じた。尿検査で、顕微血尿、シュウ酸結(jié)晶、白血球が認(rèn)められた(EU-RAR(2004))との記載がある。
経皮
ウサギに対する経皮投與のLD50 ≧4,000 mg/kg(EHC 189(1997))、> 20,000 mg/kg(EU-RAR(2004)、PATTY(6th, 2012)、NITE 初期リスク評(píng)価書(shū)(2005))に基づいて、區(qū)分外とした。
吸入: ガス
GHSの定義における液體である。
吸入: 蒸気
データ不足のため分類(lèi)できない。
吸入: 粉じん及びミスト
ラットにおけるLC50(ミスト)≧15.68 mg/L(EU-RAR(2004))に基づいて、區(qū)分外とした。なお、エアロゾル吸入試験によるとの記載に基づき、分類(lèi)にはミストとして mg/Lを単位とする基準(zhǔn)値を適用した。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
NITE 初期リスク評(píng)価書(shū)(2005)、EU-RAR(2003)には、皮膚刺激性がみられたとの記載があるが、EU-RAR(2003)の補(bǔ)遺EU-RAR(2004)(Addendum to the Environmental Section)にて、OECD TG404に準(zhǔn)拠した試験で刺激性となしの結(jié)果が記載され、補(bǔ)遺 EU-RAR(2004)の結(jié)論として刺激性なしとしていることから、區(qū)分外(國(guó)連分類(lèi)基準(zhǔn)の區(qū)分3)とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
NITE 初期リスク評(píng)価書(shū)(2005)、EU-RAR(2003)には、眼刺激性がみられ、48又は72時(shí)間後に回復(fù)しているとの記載があるが、EU-RAR(2003)の補(bǔ)遺EU-RAR(2004)(Addendum to the Environmental Section)にて、OECD TG405に準(zhǔn)拠した試験で刺激性となしの結(jié)果が記載され、補(bǔ)遺EU-RAR(2004)の結(jié)論として刺激性なしとしていることから、區(qū)分外(國(guó)連分類(lèi)基準(zhǔn)の區(qū)分3)とした。
呼吸器感作性
データ不足のため分類(lèi)できない。
皮膚感作性
EU-RAR(2004)、EHC 189(1997)の記述から、動(dòng)物実験ではフタル酸ジブチルは皮膚感作性を示していないが、ヒトの事例研究から陽(yáng)性を示唆する結(jié)果があり、産衛(wèi)學(xué)會(huì)勧告(2012)は皮膚感作性を第2群に、日本職業(yè)?環(huán)境アレルギー學(xué)會(huì)特設(shè)委員會(huì)(2004)は皮膚感作性有りに分類(lèi)しているため、區(qū)分1とした。
生殖細(xì)胞変異原性
分類(lèi)ガイダンスの改訂により、「區(qū)分外」が選択できなくなったため、「分類(lèi)できない」とした。すなわち、In vivoでは、マウスの末梢血赤血球を用いる小核試験で陰性の結(jié)果が報(bào)告されている(NITE 初期リスク評(píng)価書(shū)(2005)、 EHC 189(1997)、EU-RAR(2004))。さらに、in vitroでは、細(xì)菌を用いる復(fù)帰突然変異試験の1例で代謝活性化系非存在下のTA100において陽(yáng)性がみられているが、その他の復(fù)帰突然変異試験ではすべて陰性である。また、哺乳類(lèi)培養(yǎng)細(xì)胞を用いる染色體異常試験も陰性である。哺乳類(lèi)培養(yǎng)細(xì)胞を用いるマウスリンフォーマ試験では陰性及び陽(yáng)性結(jié)果が認(rèn)められるものの、EU-RAR(2004)、EHC 189(1997)、SIDS(2001)、CaPSAR(1994)では、本物質(zhì)は変異原性なしと結(jié)論している。
発がん性
【分類(lèi)根拠】 (1)~(5)より、本物質(zhì)の類(lèi)似物質(zhì)のDEHP(フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)CAS登録番號(hào):117-81-7)の肝臓等への腫瘍誘発性も未解明な部分が多く確定的ではないと考えられ、DBPについては既存知見(jiàn)から肝臓、精巣等への腫瘍誘発を示唆する証拠はない。(6)、(7)より、ヒトについて発がん性を懸念すべき報(bào)告はこれまでないため、データ不足のため分類(lèi)できない。
【根拠データ】 (1)本物質(zhì)(フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)CAS登録番號(hào):84-74-2)の実験動(dòng)物を用いた十分な発がん性試験報(bào)告はない(EU RAR (2004)、NICNAS (2013)、食安委 器具?容器包裝評(píng)価書(shū) (2014))。 (2)DBPと類(lèi)似の構(gòu)造を持つDEHPにはげっ歯類(lèi)への肝発がん作用が知られ、DEHPのげっ歯類(lèi)における肝発がんの主要な作用機(jī)序は當(dāng)初はPPARαを介した経路によると考えられ、DBPにもげっ歯類(lèi)へのペルオキシゾーム増殖活性が認(rèn)められることから、より高用量、長(zhǎng)期間のDBP 投與によりげっ歯類(lèi)に肝発がんを引き起こす可能性も考えられた(食安委 器具?容器包裝評(píng)価書(shū) (2014)、NICNAS (2013))。 (3)その後の研究動(dòng)向からDEHPの肝発がん作用機(jī)序についてのPPARαの関與はげっ歯類(lèi)特異的でヒトには當(dāng)てはまらないとされ、IARCはDEHPの発がん分類(lèi)をグループ3に変更した(IARC 77 (2000))。なお、DEHPの肝発がんについてはPPARα以外の核內(nèi)受容體(CAR、PXR等)の関與も示唆されており、IARCは発がん分類(lèi)を當(dāng)初(IARC Suppl. 7 (1987))のグループ2Bに再び戻した(IARC 103 (2013))。このように、DEHPのげっ歯類(lèi)の肝発がん作用機(jī)序もヒトへの外挿性についても未だ明らかではない。 (4)DEHPでは、肝臓腫瘍以外に、ラットの発がん性試験で精巣間細(xì)胞(ライデッヒ)腫瘍の増加が報(bào)告された。しかし、精巣腫瘍の報(bào)告はラットの1試験のみで、ラットを用いた複數(shù)の他試験を含め、マウス、モルモット、イヌを用いた多くの試験で確認(rèn)されていない(ATSDR (2022))。 (5)國(guó)內(nèi)外の評(píng)価機(jī)関による本物質(zhì)の既存分類(lèi)では、EPAでグループDに分類(lèi)されているだけである(IRIS (1990))。 (6)近年、DBPの主要な尿中代謝物であるMBPの尿中濃度をDBPばく露の指標(biāo)として、様々な影響指標(biāo)との関連を調(diào)べた疫學(xué)調(diào)査が実施されており、最近10年ほどの間に比較的多數(shù)の報(bào)告が公表されている。主な調(diào)査結(jié)果は生殖?発生及び神経発達(dá)への影響に関するものであった(食安委 器具?容器包裝評(píng)価書(shū) (2014))。 (7)北メキシコに在住する女性で乳がんと診斷された癥例群233名(平均53.4 歳)と年齢をマッチさせた対照群221名(平均53.8 歳)による癥例対照研究において、治療開(kāi)始前の早朝尿中の9種類(lèi)のフタル酸エステル代謝物濃度と乳がんとの関係が調(diào)査された結(jié)果、MBP(DBP代謝物)尿中濃度と乳がんのオッズ比や用量反応関係に有意な関連はみられなかった(食安委 器具?容器包裝評(píng)価書(shū) (2014))。
生殖毒性
NITE 初期リスク評(píng)価書(shū)(2005)の記述から、ラット及びマウスに経口(混餌)投與した生殖毒性試験でF0の生殖能低下、精巣の萎縮、精子生産能の低下、妊娠中期の流産、出産児數(shù)(率)の低下がみられ、また、妊娠ラット及びマウスに経口(強(qiáng)制または混餌)投與した複數(shù)の発生毒性試験で胎児、児動(dòng)物に奇形(外表奇形、骨格奇形)が見(jiàn)られ、さらに、ラットでは次世代雄の精巣及び副生殖腺の発生異常が見(jiàn)られている。ラットの生殖毒性及びラット、マウスにおける発生毒性影響の多くは親動(dòng)物に體重増加抑制、肝臓重量増加などの一般毒性影響がみられない用量から発現(xiàn)している。したがって、分類(lèi)ガイダンスに従い區(qū)分1Bに分類(lèi)した。
特定標(biāo)的臓器毒性 (単回ばく露)
マウスに吸入ばく露(エアロゾル)した試験で、250 mg/m3(ガイダンス値換算: 0.125 mg/L/4hr)で上気道刺激、呼吸抑制癥狀などがみられており(ACGIH(7th, 2001))、區(qū)分3(気道刺激性)に分類(lèi)した。なお、舊分類(lèi)では區(qū)分1(腎臓)も分類(lèi)に採(cǎi)用していたが、ヒトの腎臓への影響に関する報(bào)告は1例のみの癥例報(bào)告であり、ヒトの神経系への影響は本物質(zhì)による影響と結(jié)論できない(NITE 初期リスク評(píng)価書(shū)(2005))など、ヒトへの影響に関して分類(lèi)に用いるのに適切なデータはないと判斷した。
特定標(biāo)的臓器毒性 (反復(fù)ばく露)
ラットの4週間吸入(エアロゾル)ばく露試験で、區(qū)分1のガイダンス値の範(fàn)囲內(nèi)の低濃度(118 mg/m3: ガイダンス値換算濃度: 0.00036 mg/L/6 hr)から、局所影響として鼻腔粘膜細(xì)胞の過(guò)形成及び喉頭の扁平上皮化生が認(rèn)められたとの記述(EU-RAR(2004))があり、區(qū)分1(呼吸器)に分類(lèi)した。経口投與ではマウス及びラットのいずれの試験も區(qū)分2のガイダンス値を超える高用量(238 mg/kg/day以上)で、肝臓、血液、精巣などに有害性影響が見(jiàn)られた(NITE 初期リスク評(píng)価書(shū)(2005))。したがって、區(qū)分1(呼吸器)とした。なお、ヒトへの影響に関して信頼できる報(bào)告はない。また、舊分類(lèi)の區(qū)分2(肝臓)は舊分類(lèi)で分類(lèi)根拠を示しておらず、今回も標(biāo)的臓器に含まれないことを確認(rèn)したため、削除した。
誤えん有害性*
データ不足のため分類(lèi)できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項(xiàng)目名が変更となった。