急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)、(2) より、區(qū)分4とした。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 660 mg/kg (ACGIH (7th, 2019)) (2) ラットのLD50: 930 mg/kg (ACGIH (7th, 2019)、GESTIS (Access on April 2020)、REACH登録情報 (Access on May 2020))
経皮
【分類根拠】 (1) より、區(qū)分4とした。
【根拠データ】 (1) ウサギのLD50: 2,000 mg/kg (ACGIH (7th, 2019)、GESTIS (Access on April 2020))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液體であり、區(qū)分に該當しないとした。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1)、(2) より、區(qū)分3とした。 なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (0.220 mg/L) よりも高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
【根拠データ】 (1) ラットのLC50 (4時間): 雄: > 1.42 mg/L、雌: 0.8 mg/L (SIAP (2001)) (2) ラットのLC50 (4時間、エアロゾル): 1.34 mg/L (REACH登録情報 (Access on May 2020)) (3) 本物質の蒸気圧: 0.03 mmHg (25℃) (飽和蒸気圧濃度換算値:0.220 mg/L) (HSDB (Access on April 2020))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)、(2) より、區(qū)分1とした。
【根拠データ】 (1) 本物質の原液はモルモットの皮膚に対して腐食性を有し、アセトン/ジオキサンを用いた50%乳化液は強い刺激性を示すが、10%乳化液では殆ど刺激性を示さない。また、10%水溶液の適用は強度の紅斑と浮腫を引き起こす (ACGIH (7th, 2019))。 (2) 本物質はラットとマウスの皮膚に腐食性を示す (SIAP (2001)、REACH登録情報 (Access on May 2020)) 。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1) より、區(qū)分1とした。
【根拠データ】 (1) 本物質は皮膚腐食性物質 (區(qū)分1) に區(qū)分されている。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1)~(5) より、區(qū)分1Aとした。
【根拠データ】 (1) 本物質は産衛(wèi)學會において皮膚第1群に指定されている (日本産業(yè)衛(wèi)生學會學會誌 (2019年9月號))。 (2) 本物質はモルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) において感作性を示す (SIAP (2001))。 (3) 本物質はプラスチック製造に関わる作業(yè)者における強い感作性物質と報告されている (ACGIH (7th, 2019))。 (4) 本物質は作業(yè)者に対し0.1 mg/m3以下の作業(yè)環(huán)境下で皮膚感作性を示す (SIAP (2001))。 (5) TG429に準拠したマウス局所リンパ節(jié)試験 (LLNA) において、陽性と判定された (REACH登録情報 (Accessed on October 2019))。
【參考データ等】 (6) 本物質は反復適用によりモルモットに軽度の感作性を示したが、再現(xiàn)性は得られなかった (ACGIH (7th, 2019))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)、(2) より、區(qū)分に該當しないとした。
【根拠データ】 (1) in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性の報告がある (ACGIH (7th, 2019)、SIAP (2001))。 (2) in vitroでは、細菌を用いる復帰突然変異試験、ほ乳類培養(yǎng)細胞を用いる染色體異常試験で陰性の報告がある (ACGIH (7th, 2019)、SIAP (2001)、既存點検結果 (Access on April 2020))。
発がん性
【分類根拠】 データがなく分類できない。
生殖毒性
【分類根拠】 (1) 、(2) より、概ね性機能?生殖能、発生影響に対する悪影響はないと判斷されることから、區(qū)分に該當しないとした。なお、新たな情報が得られたことにより、舊分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) ラットを用いた強制経口投與による簡易生殖毒性試験 (OECD TG 421) において、親動物毒性 (死亡、體重増加抑制、摂餌量減少、前胃の病変 (潰瘍、角化亢進を伴った扁平上皮増生等)) がみられる用量においても、生殖能、児動物に影響はみられていない (既存點検結果 (Access on April 2020))。 (2) 雌ラットの妊娠6~19日に強制経口投與した発生毒性試験 (OECD TG 414) において、母動物毒性 (體重減少、切迫屠殺 (3/25例)、呼吸困難、肺の暗赤色化等) がみられる用量においても、胚/胎児に影響はみられていない (REACH登録情報 (Access on June 2020))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1)~(3) より、本物質の主な急性影響は腐食性による呼吸器への影響と考えられることから、區(qū)分1 (呼吸器) とした。舊分類で分類根拠とされたラット、マウスの急性毒性試験でみられた自発運動の低下、眼瞼下垂、死亡例での運動失調と努力呼吸については、自発運動の低下、眼瞼下垂等は回復性がみられていること、運動失調及び努力呼吸については死亡例での所見であることから、分類根拠としないこととし、舊分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) 本物質の毒性は最初の接觸部位での腐食性によるものである (SIAP (2001))。 (2) ラットに本物質のエアロゾル1.74~6.04 mg/Lを1時間 (4時間換算値: 0.44~1.51 mg/L、區(qū)分1~區(qū)分2の範囲) 吸入ばく露した結果、眼刺激、流涙、呼吸困難がみられ、剖検で肺の病変がみられた (ACGIH (7th, 2019))。 (3) ラットに本物質のエアロゾル0.74~ 5.2 mg/Lを4時間吸入ばく露した試験 (OECD TG 403) において、0.74 mg/L (區(qū)分1の範囲) で頻呼吸 (accelerated respiration)、肺の異常呼吸音 (pulmonary respiration sounds)、うずくまり、立毛、被毛の汚れがみられ、剖検では0.74 mg/L群の生存例で肺葉のびまん性の赤色化、水腫が、1.35 mg/L以上の群の死亡例で肺葉のびまん性の赤色化がみられた (REACH登録情報 (Access on May 2020))。
【參考データ等】 (4) 本物質の製造工場の作業(yè)者の癥例報告で、本物質の腐食性による消化管への刺激がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2019))。 (5) ラット、マウスを用いた急性経口毒性試験で、自発運動の低下や眼瞼下垂等が投與後數(shù)時間で認められたが、これらの癥狀は3~7日後に回復した。観察中の死亡例では、死亡前に運動失調と努力呼吸を示した。剖検では、死亡例の胃及び腸管に激しい潰瘍または壊死が観察されたが、他の臓器に極端な変化はみられなかった (REACH登録情報 (Access on May 2020))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 (1) より、実験動物への吸入ばく露により、區(qū)分1の範囲で呼吸器への影響がみられていることから、區(qū)分1 (呼吸器) とした。新たな情報をもとに分類を行い、舊分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) ラットを用いた13週間の吸入ばく露試験において、本物質のエアロゾルを13週間 (6時間/日、5日間/週) 鼻部ばく露した結果、5 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.004 mg/L、區(qū)分1の範囲) 以上で気管支上皮の変性 (腺毛の喪失、上皮の菲薄化、細胞質の好塩基性化、核濃縮) が、30 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.022 mg/L、區(qū)分2の範囲) で気管支上皮の扁平上皮化生、肺の亜急性炎癥がみられたと報告されている (REACH登録情報 (Access on May 2020))。
【參考データ等】 (2) ラットを用いた経口投與による28日間反復投與毒性試験の結果、600 mg/kg/day (90日換算: 187 mg/kg/day、區(qū)分2超) で自発運動低下などの癥狀発現(xiàn)と死亡の発生、病理學的変化として胃の主に前胃部粘膜に潰瘍の形成、重層扁平上皮の過形成、さらに血液または生化學検査では血色素量およびヘマトクリット値の減少、血清総タンパク量の減少などが報告されているが、それより低用量の150 mg/kg/day以下では毒性影響は報告されていない (既存點検結果 (Access on April 2020)、SIAP (2001))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の內容に変更はない。