急性毒性
経口
GHS分類: 區(qū)分外 ラットのLD50値として、2,350 mg/kg (EU-RAR (2006))、3,000 mg/kg (雄)、2,400 mg/kg (雌) (EU-RAR (2006)、SIDS (2006)、ACGIH (7th, 2003)、ATSDR (1998)、ECETOC TR 64 (1995)、DFGOT vol. 6 (1994))、7,000 mg/kg (EU-RAR (2006)、ACGIH (7th, 2003)) との報告に基づき、「區(qū)分外 (國連分類基準の區(qū)分5)」とした。
経皮
GHS分類: 區(qū)分4 ウサギのLD50値として、1,485 mg/kg (EU-RAR (2006)、ACGIH (7th, 2003))、1,500 mg/kg (EU-RAR (2006)、SIDS (2006)、ACGIH (7th, 2003)、ATSDR (1998)、ECETOC TR 64 (1995)、DFGOT vol. 6 (1994)) との報告に基づき、「區(qū)分4」とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液體であり、分類対象外。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。ラットに本物質を飽和蒸気圧濃度 (約400 ppm) で4時間吸入させた結果、毒性影響がなかったとの報告 (EU-RAR (2006)、SIDS (2006)、ACGIH (7th, 2003)) があるが、このデータから區(qū)分を特定できない。なお、試験は飽和蒸気を用いたとの記載に基づき、ppmを単位とする基準値を適用した。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 區(qū)分外 ウサギを用いたドレイズ試験において、本物質を適用 (適用時間不明) した結果、6例中4例にわずかな刺激性が認められ、皮膚一次刺激指數(shù)0.17であったとの報告がある (SIDS (2006)、EU-RAR (2006)、ATSDR (1998)、ECETOC TR 64 (1995))。その他、ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、刺激性なし又は軽度の刺激性との報告が複數(shù)ある (EU-RAR (2006))。一方で、未希釈の本物質0.5 mLをウサギに4時間閉塞適用した結果、中等度の発赤がみられたとの報告がある (EU-RAR (2006)、ECETOC TR 64 (1995))。また、未希釈の本物質83 uLを8人のボランティアに48時間適用し皮膚血流量 (CBFV) を測定した試験において、本物質は軽度の刺激性と報告されている (EU-RAR (2006))。以上の結果から、「區(qū)分外 (國連分類基準における?yún)^(qū)分3)」と判斷した。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 區(qū)分外 ウサギを用いた眼刺激性試験において、刺激スコアは0.67であり軽度の結膜発赤及び分泌物がみられたが48時間以內に回復した (SIDS (2006)、ATSDR (1998)、DFGOT vol. 6 (1994)、ECETOC TR 64 (1995))。ウサギを用いた他の試験においても、未希釈の本物質の適用により軽度の発赤及び浮腫がみられたが一時間後に回復したとの報告がある (EU-RAR (2006))。以上の結果から「區(qū)分外」と判斷した。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 區(qū)分外 モルモットを用いたビューラー試験 (European technical guideline B6準拠、GLP適合) において、本物質 (99.1 %) による誘導及び惹起後の皮膚反応はみられなかったとの報告がある (EU-RAR (2006)、ATSDR (1998))。また、本物質の代謝物であるエチレングリコールモノブチルエーテルについて、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において感作性はみられなかったとの報告がある (SIDS (2006))。以上の結果から「區(qū)分外」と判斷した。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない データ不足により分類できない。 本物質のデータはないが、本物質の関連物質であるエチレングリコールモノブチルエーテルのデータは存在する。すなわち、in vivoでは、ラット、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験、ラット、マウスの脳、肝臓、腎臓、脾臓、精巣を用いたDNA損傷試験でいずれも陰性である (EU-RAR (2006)、SIDS (2006))。また、in vitroでは、遺伝子突然変異試験及び姉妹染色分體交換試験で高用量でのみ陽性結果が認められたが、その他の試験、すなわち、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養(yǎng)細胞の遺伝子突然変異試験、染色體異常試験、姉妹染色分體交換試験でいずれも陰性である (SIDS (2006))。なお、EU-RAR (2006) では、本物質のデータが存在しないためエチレングリコールモノブチルエーテルの変異原性データが本物質のデータとして適用できると記載している。
発がん性
GHS分類: 分類できない 本物質自體の発がん性試験報告はないが、本物質は生體內でエステラーゼにより分解され、エチレングリコールモノブチルエーテル (EGBE) に代謝される (SIDS (2006)、EU-RAR (2006))。EGBEに関しては、ラット、マウスを用いた2年間吸入ばく露試験が実施されており、肝臓の血管肉腫 (雄マウス)、及び前胃の扁平上皮における乳頭腫、又はがん (雌マウス) の発生率の増加が既知情報として知られており (SIDS (2006)、EU-RAR (2006))、ACGIH はこの知見に基づき、本物質の発がん性をA3に分類した (ACGIH (7th, 2003))。しかし、雌雄ラットには肝臓血管肉腫も前胃の腫瘍も認められておらず (SIDS (2006)、EU-RAR (2006))、IARC、及びEUはマウスの腫瘍発生に対する詳細な作用機序の検討の結果、肝臓の血管肉腫は本物質の溶血作用による肝臓への色素沈著による作用機序の可能性が考えられ、ヒトでは赤血球溶血に対する抵抗性が高く、この機序は起こりにくいこと、前胃の腫瘍はヒトには當てはまらないこと (EU-RAR (2006)、IARC vol. 88 (2006)) から、EGBEの発がん性に対して、IARCはグループ3に分類し (IARC vol. 88 (2006))、EUはEGBEの分類の2000年再評価で、作用機序から判斷してヒト発がん性に対する重大な危険性はなく、EGBEは発がん性物質の區(qū)分に該當せずと結論し、この結論は2004年に再確認されたと発がん評価の経緯が記述されている (SIDS (2006))。 以上、本物質の代謝物であるEGBEを発がん性物質として分類する根拠は薄く、本物質も同様と考えられるが、ヒトでの疫學知見がないこと、EGBEについてのIARCグループ3の分類結果に基づき、本項は「分類できない」とした。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない 本物質自體の生殖毒性に関する情報はない。生體內での代謝物であるエチレングリコールモノブチルエーテル (EGBE) については、マウスを用いた飲水投與による連続交配試験で、親動物には一般毒性影響 (肝臓?腎臓の相対重量増加) が発現(xiàn)する用量よりも高用量 (限度量を超える、1,340 mg/kg/day相當) で、妊娠腹數(shù)及び同腹生存児數(shù)の減少、児動物に低體重などの生殖毒性影響がみられたとの記述 (SIDS (2006)、ACGIH (7th, 2003))、並びにEGBEを妊娠ラット、又は妊娠ウサギの器官形成期に吸入ばく露した各試験において、ラットでは母動物に貧血、體重増加抑制がみられる用量においても、胎児に骨格変異の頻度増加以外に異常はなく、ウサギも母動物に體重増加抑制及び一部死亡例が生じる用量で、著床胎児數(shù)の減少がみられたのみであった (SIDS (2006)、ACGIH (7th, 2003))。しかし、本物質の直接的な試験結果ではないことから、本項は「分類できない」とした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 區(qū)分1 (中樞神経系、血液系、腎臓) 本物質のヒトの情報はない。18歳の男性が本物質の代謝物である22%のエチレングリコールモノブチルエーテル (EGBE) を含むガラスクリーナーを360~480 mL飲んだ事例において、重度の中樞神経抑制、代謝性アシドーシス、血尿がみられている。50歳の女性がガラスクリーナーとして9~13%のEGBEを含む洗浄液 (約30~60 mLのEGBEを摂取) 30~60 mLを飲んだ事例では、呼吸困難、昏睡、散瞳、血尿、ヘモグロビン減少、代謝性アシドーシス、低カリウム血癥がみられている。その他にもエチレングリコールモノブチルエーテルを含む複數(shù)のヒト誤飲事例で、中樞神経抑制、血尿、代謝性アシドーシス、赤血球數(shù)減少、ヘモグロビンの減少がみられている (SIDS (2006)、ATSDR (1998))。 実験動物では、本物質に関する複數(shù)の情報がある。ラット、マウスの経口投與 (ラット(LD50=3,089 mg/kg)、マウス(LD50=1,774 mg/kg) 區(qū)分2相當) で、活動低下、努力呼吸、衰弱、振戦、ヘモグロビン尿、血尿、腎臓の肉眼的変化。ウサギの経口投與 (188 mg/kg、區(qū)分1相當) で、ヘモグロビン尿、貧血が見られたが3週間後に回復した。ラットの吸入ばく露 (LC50 > 0.56 mg/L、區(qū)分1相當) で、淺呼吸、協(xié)調運動失調、ウサギの吸入ばく露 (2.66 mg/L、區(qū)分1相當) で、一過性のヘモグロビン尿、血尿、溶血がみられたが、この癥狀は48時間以內に回復した。ウサギの経皮ばく露 (435~1,500 mg/kg、區(qū)分1相當) で、衰弱、低體溫、ヘモグロビン尿、経皮ばく露 (610~2,200 mg/kg、區(qū)分1相當) で、ヘモグロビン尿、血尿、赤血球數(shù)減少、溶血作用がみられ死亡したが、生存?zhèn)€體ではばく露8~14日後に回復し、剖検で病理學的傷害はみられなかった (以上、SIDS (2006)、ATSDR (1998)、ACGIH (7th, 2003)、EU-RAR (2006)、DFGOT vol. 6 (1994))。 アルコキシエタノールの酢酸エステルは生體內に吸収されると、容易にアルコキシエタノールと酢酸に加水分解されるため、EGBEの毒性及び代謝 (生物學的モニタリングを含めて) は本物質にもあてはまるとの記載 (産衛(wèi)學會 生物學的許容値の暫定値 (2008)) があることから、EGBEのヒトデータも採用した。 以上より、本物質の代謝物であるEGBEで、ヒトにおいて中樞神経抑制、代謝性アシドーシス、血尿、赤血球數(shù)減少、ヘモグロビンの低下がみられ、実験動物でも中樞神経抑制、血液系、腎臓への影響がみられることから、「區(qū)分1 (中樞神経系、血液系、腎臓)」とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 區(qū)分2 (血液系、腎臓) ヒトに関する情報はない。 実験動物では、血液系及び腎臓への影響がみられている。 血液系の影響として、ラット、ウサギを用いた1ヶ月間吸入毒性試験において400 ppm (ガイダンス値換算: 0.39 mg/L) でラットではヘモグロビン尿、ウサギではヘモグロビン尿、血尿、赤血球數(shù)?へマトクリット値減少がみられた (EU-RAR (2006)、ACGIH (2003)、DFGOT vol. 6 (1994))。また、ラット、ウサギを用いた4週間吸入毒性試験において340 ppm (ガイダンス値換算: 0.49 mg/L) でヘモグロビン尿、溶血性貧血がみられた (EU-RAR (2006)、ATSDR (1998)、ACGIH (2003)、DFGOT vol. 6 (1994))。 腎臓への影響として、ラットを用いた1ヶ月間吸入毒性試験において400 ppm (ガイダンス値換算: 0.39 mg/L) で尿細管腎癥、混濁腫脹、出血性壊死、ラットを用いた10ヶ月間吸入毒性試験において100 ppm/6h (ガイダンス値換算: 0.44 mg/L) で皮質の尿細管腫大あるいは萎縮を伴った尿細管腎炎、炎癥性線維化と遠位曲尿細管及びヘンレのワナ拡張、硝子円柱を伴う尿細管腫大、ウサギを用いた1ヶ月間吸入毒性試験において400 ppm (ガイダンス値換算: 0.39 mg/L) で腎臓の肥大、血液による腎臓の腫大、膀胱內の血液貯留、壊死性尿細管腎炎、萎縮性尿細管拡張、管腔內顆粒狀沈著物がみられた (EU-RAR (2006)、ATSDR (1998))。 なお、これらはいずれも単一用量であり、明確なLOAEL、NOAELは決定できない。また、SIDS (2006) では信頼性のあるデータはないとしている。しかし、いずれも少なくとも區(qū)分2の範囲で影響がみられた。したがって、「區(qū)分2 (血液系、腎臓)」とした。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。