急性毒性
経口
ラットのLD50値200 mg/kg (環(huán)境省リスク評価第3巻 (2004)) に基づき、區(qū)分3とした。
経皮
ウサギを用いた経皮投與試験のLD50=12,700 mg/kg (CICAD 57 (2004)) に基づき、區(qū)分外とした。
吸入:ガス
GHSの定義における液體である。
吸入:蒸気
データ不足のため分類できない。
吸入:粉じん及びミスト
40%水溶液 (エアロゾル) でのラットを用いた吸入ばく露試験でLC50 (4時間) =2,440 mg/m3 (2.44 mg/L) (SIDS (2003)、CICAD 57 (2004)、NITE初期リスク評価書 (2008)) との報告がある。このLC50値は計算値である (CICAD 57 (2004)) との記載に基づき、ミストとして mg/L を単位とする基準値を適用し、區(qū)分4とした。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
ウサギを用いた皮膚刺激性試験結果の記述に、「重度の刺激性」 (SIDS (2003))、「軽度の刺激性」 (SIDS (2003))、「紅斑がみられた」 (CICADS 57 (2004)、「刺激性なし」 (SIDS (2003)) との記載がある。ヒトへの影響としては、「現(xiàn)在ではヒトの眼や皮膚、粘膜を刺激すると考えられている。」との記載がある (環(huán)境省リスク評価第3巻 (2004))。さらに、本物質は、EU DSD分類において「Xi; R36/38」、EU CLP分類において「Skin Irrit. 2 H315」に分類されている。以上の情報に基づき可逆的な重度の刺激性を與えると考え、區(qū)分2とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405準拠) では、「軽度の刺激性」がみられた」との記述がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。ウサギを用いた別の試験では、「紅斑と結膜浮腫がみられ、8日後に完全に回復した。」、「結膜に重度の紅斑と軽度の浮腫、虹彩に炎癥と曇りがみられた。1~2週間で癥狀が治まった?!工趣斡浭訾ⅳ?(SIDS (2003))。さらに、本物質は、EU DSD分類において「Xi; R36/38」、EU CLP分類において「Eye Irrit. 2 H319」に分類されている。以上の情報に基づき可逆的な重度の刺激性を與えると考え、區(qū)分2Aとした。
呼吸器感作性
呼吸器感作性: データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
皮膚感作性: モルモットを用いたビューラー法、マキシマイゼーション法の結果の記述 (SIDS (2003)) に「陽性」とあり、ヒト疫學事例の記述に「マキシマイゼーション法を行ったところ、皮膚の壊死、紅斑、浮腫がみられた (SIDS (2003)) 」、「10%溶液での感作ならびに2%溶液での惹起によって全例で陽性の皮膚反応がみられ、グリオキサールは極めて強い皮膚感作性を有することが示された (NITE初期リスク評価書 (2008)) 」との記載があることから、「皮膚感作性がある」と考えられた。さらに、本物質は、EU DSD分類において「R43」、EU CLP分類において「Skin Sens. 1 H317」に分類されている。以上の情報に基づき區(qū)分1とした。
生殖細胞変異原性
データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2003)、CICAD 57 (2004))。また、ラット肝臓を用いる不定期DNA合成 (UDS) 試験で陰性であるが (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2003))、ラット胃幽門粘膜のUDS試験、ラット肝臓のDNA単鎖切斷試験で陽性結果がみられている (SIDS (2003)、NITE初期リスク評価書 (2008)、環(huán)境省リスク評価第3巻 (2004)、CICAD 57 (2004)、ACGIH (7th, 2001))。これらの陽性知見は、いずれも局所的なDNA損傷と評価されている (SIDS (2003))。一方、in vitroでは、細菌復帰突然変異試験、哺乳類培養(yǎng)細胞を用いる遺伝子突然変異試験及び染色體異常試験で陽性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2003)、CICAD 57 (2004)、環(huán)境省リスク評価第3巻 (2004)、ACGIH (7th, 2001))。分類ガイダンスの改訂により區(qū)分を変更した。
発がん性
ACGIH (7th, 2001) でA4に分類されていることから、分類できないとした。分類ガイダンスの改訂により區(qū)分を変更した。
生殖毒性
母動物毒性が発現(xiàn)する用量で発生毒性はないとの情報はある (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2003)) が、性機能及び生殖能に及ぼす影響についての情報がなく、データ不足のため分類できないとした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
ラット、マウスなどの経口急性毒性試験において、剖検により消化管 (消化管刺激)、肺、腎臓、副腎に変化がみられたことに加え、ラットの吸入 (エアロゾル) ばく露試験において、呼吸困難、不整呼吸、中樞神経系抑制、肺の充血がみられた (SIDS (2003)、NITE初期リスク評価 (2008)) ことから、消化器、呼吸器、腎臓、副腎、中樞神経系が標的臓器と考えられた。このうち、消化器は本物質が刺激性を有していることから、標的臓器に含めなかった。なお、実験動物に対する影響は、區(qū)分2に相當するガイダンス値の範囲 (経口経路 (640 - 1,400 mg/kg (ラット))、吸入経路 (1.3 mg/L 以上)) でみられた。以上より、區(qū)分2 (肺、腎臓、副腎、呼吸器、中樞神経) とした。なお、舊分類には標的臓器に「心臓」、「肝臓」も含まれていたが、今回分類に用いた情報源には標的臓器としての「心臓」及び「肝臓」の記載がないため、削除した。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
ラットの29日間吸入ばく露試験において、區(qū)分1のガイダンス値の範囲內の濃度 (ガイダンス値換算値: 0.0003 mg/L) で粘膜下のリンパ球様細胞浸潤を伴った喉頭蓋上皮の扁平上皮化生がみられており (NITE初期リスク評価書 (2008))、區(qū)分1 (呼吸器) とした。なお、ラットに28日間経口投與した試験では、區(qū)分2のガイダンス値範囲內の用量 (ガイダンス値換算値: 40 mg/kg/day) で、體重増加抑制、摂餌量減少が認められているが、標的臓器を特定可能な病理學的変化はみられなかった (NITE初期リスク評価書 (2008))。
吸引性呼吸器有害性
データ不足のため分類できない。