急性毒性
経口
ラットのLD50値、370 mg aep/kg、510 mg aep/kg、 830 mg aep/kg(aep: active enzyme proteinの略で理論上の活性のある純酵素タンパク質(zhì)量)〔以上、HERA (2007):Human & Environmental Risk Assessment on ingredients of household cleaning products,Edition 2.0 February 2007〕に基づき、區(qū)分4とした。 [ズブチリシンは分子量約27 kDaの球狀タンパク質(zhì)で、一次構(gòu)造、特に中心部は相同性66-99%のよく保存されたセリンプロテアーゼであることから、ズブチリシン酵素類としてデータを採用した。]
経皮
データなし。なお、ズブチリシン酵素類は相対的に分子量が大きいので無傷の皮膚を浸透可能とは考えられず、経皮ばく露により急性の全身毒性を惹起しないと想定される〔HERA (2007)〕との記述がある。
吸入
吸入(粉じん): ラットのLC50値、0.0177 mg aep/L、0.1~ 0.4 mg aep/L〔以上、HERA (2007)〕に基づき、危険性の高い方の區(qū)分1とした。なおズブチリシン酵素類としてデータを採用し、「タンパク質(zhì)分解酵素粉末の吸入」との記述から粉じんの基準値により分類した。
吸入(蒸気): データなし
吸入(ガス): 常溫で固體である。
皮膚腐食性?刺激性
ウサギを用いたDraize試験で、PII(primary irritation index)が、1.1、1.3、1.7、2〔以上、HERA (2007)〕であり、2.3以下で刺激性評価は軽度(mildまたはslightly)であったことから、JIS分類基準の區(qū)分外(國連分類基準の區(qū)分3)とした。ズブチリシン酵素類のひとつのSavinaseを被験物質(zhì)にした試験でPIIが2.6との報告〔HERA (2007)〕もあるが、溶媒コントロールのPIIが2.9であり、有意差がないと考え採用しなかった。
眼に対する重篤な損傷?刺激性
ウサギの改良Draize試験で、結(jié)膜の軽度の浮腫を伴う発赤が広がり、処置後24時間でピークに達したが、処置後7日目には癥狀は消失した〔HERA (2007)〕との記述に基づき、區(qū)分2Bとした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
皮膚感作性:モルモットを用いた皮膚感作性試験(Maximization試験およびBuehler試験)では陰性の結(jié)果が報告されている〔食品安全委員會(2006)、HERA (2007)〕。また、ボランティアのパッチテストによる皮膚感作性試験、ばく露を受けた労働者や消費者のパッチテストによる調(diào)査が幾度も実施されている〔HERA (2007)〕が、ズブチリシン酵素類が皮膚感作を引き起こす証拠は見られず、これらのヒトにおける証拠から、ズブチリシン酵素類は皮膚感作性物質(zhì)とは見なせないと述べられている〔HERA (2007)〕。一方、ズブチリシンのばく露を受けた121名の労働者の皮膚パッチテストで、アトピー性の労働者(64%(16/25))の方が正常な労働者(33%(32/96))より感作率が高かったこと〔ACGIH(2001)〕、また、酵素調(diào)製に係わり呼吸器疾患を有する患者3名が皮膚試験で陽性が報告されている〔ACGIH(2001)〕が、詳細不明でACGIHの評価ではSENに區(qū)分されていないので、これらのヒト皮膚パッチ試験の結(jié)果のみでは分類できない。また、逆に上述のヒトおよび動物の陰性情報〔食品安全委員會(2006)、HERA (2007)〕に基づき、區(qū)分外とするにも疑義があるため「分類できない」とした。
呼吸器感作性:ズブチリシン酵素類は気管支収縮および呼吸器アレルギーを惹起した〔ACGIH(2001)〕との記述およびズブチリシン酵素類に起因する重大な有害性は、タイプⅠ呼吸器アレルギーであるこがよく知られている〔HERA(2007)〕との記述に基づき、區(qū)分1とした。
生殖細胞変異原性
雄マウスの経口投與による優(yōu)性致死試験(生殖細胞in vivo経世代変異原生試験)で陰性〔HERA (2007)〕、チャイニーズハムスターの骨髄細胞を用いた経口投與による染色體異常試験(OECD TG475)(體細胞in vivo変異原生試験)で陰性〔HERA (2007)〕、以上の結(jié)果に基づき區(qū)分外とした。なお、in vitro変異原生試験として、Ames試験?ヒト末梢血リンパ球やV79細胞を用いた染色體異常試験などでも陰性〔以上、HERA (2007)〕の結(jié)果が得られている。
発がん性
データなし。なお、洗剤に含まれる酵素に発がん性があるとする公表された文獻は無く、洗剤?zhí)砑咏退丐硇预松w內(nèi)に殘留する量は極めて低く毒性學(xué)的に重要でないことが示されており、また、酵素はタンパク質(zhì)として消化管ですみやかに生分解されることなどを理由に「一般に酵素製剤における発がん性は想定されない」とする記述がある〔HERA (2007)〕。
生殖毒性
ラットにズブチリシン酵素類のひとつのEsperaseを交尾後6日から16日(器官形成期)に経口投與した試験(OECD TG414: GLP準拠)において催奇形性は認められず、CDラットの妊娠2日目にAlcalase(36~240 mg aep/kg/day)を経口投與した別の試験では、母獣および仔の體重変化も無く発生毒性影響は認められず、同様に妊娠1日目にAlcalase(54~540 mg aep/kg/day)を経口投與した試験では、用量540 mg aep/kgで母獣1匹が死亡し、他の母獣では用量依存性にストレス兆候?體重や摂飼量の減少などの一般毒性影響が見られ、わずかに仔の頭蓋骨骨化遅延がみられたが、催奇形性の証拠は認められなかった(両試験ともOECD TG414に準拠)〔以上、HERA (2007)〕、以上の結(jié)果に基づきズブチリシン酵素類による発生毒性影響はないと考えられるが、生殖毒性影響に関する記述がなく、データ不足で分類できない。なお、酵素はタンパク質(zhì)として消化管ですみやかに生分解されること、また、分子量が大きいため容易に皮膚や粘膜を浸透しないので全身の循環(huán)系に持続的な濃度を維持し得ない、さらに、ズブチリシン酵素類は既知の內(nèi)分泌かく亂物質(zhì)とは構(gòu)造的に相関しない、などの理由から「ズブチリシンが生殖に有害である可能性は想定されない」との記述もある〔HERA (2007)〕。
特定標的臓器?全身毒性(単回ばく露)
モルモットの試験で12%溶液の吸入ばく露(1 mg/m3/6h, (4時間換算値:0.0058 mg/L))において、肺炎がみられ〔ACGIH(2001)〕、ラット5匹にズブチリシン酵素類のひとつのAlcalaseを吸入ばく露(0.1 to 0.4 mg aep/L/4h)した試験(OECD TG403)では、肺のうっ血と出血を伴う浮腫が認められた〔HERA (2007)〕こと、また、ヒトでは「ズブチリシンは既知の気道刺激性物質(zhì)である」との記述〔ACGIH(2001)〕、以上を総合して區(qū)分1(呼吸器)とした。
特定標的臓器?全身毒性(反復(fù)ばく露)
経口投與によるラットの試験(OECD TG408)?イヌの試験(OECD TG409)、吸入ばく露によるサルの試験?モルモットの試験、経皮投與によるウサギの試験(OECD TG410に類似)などの報告〔HERA(2007)〕がある。ところが、いずれの報告にも有意な有害性を示す証拠の記述は無く、區(qū)分外に分類される可能性もあるがリスト2のデータであり、分類できないとした。
吸引性呼吸器有害性
データなし