急性毒性
経口
【分類根拠】
(1)~(3)より、區(qū)分3とした。
【根拠データ】
(1)ラットのLD50:100 mg/kg(ACGIH (2018))
(2)ラットのLD50(パラコートジクロリド(CAS番號 1910-42-5)):112~350 mg/kgの間(パラコートイオン換算:81.1~253 mg/kgの間)(JMPR (2003))
(3)ラットのLD50:100~300 mg/kgの間(JMPR (2003))
【參考データ等】
(4)毒物及び劇物取締法において、1,1’-ジメチル-4,4’-ジピリジニウムヒドロキシド、その塩類及びこれらのいずれかを含有する製剤として毒物に指定されている。
経皮
【分類根拠】
(1)より、區(qū)分3とした。なお、ガイダンスに基づき分類結(jié)果を変更した。
【根拠データ】
(1)ウサギのLD50:240 mg/kg(ACGIH (2018))
【參考データ等】
(2)ラットのLD50:80~660 mg/kgの間(JMPR (2003))
(3)ラット(雄)のLD50:80 mg/kg(ACGIH (2018))
(4)ラット(雌)のLD50:90 mg/kg(ACGIH (2018))
(5)毒物及び劇物取締法において、1,1’-ジメチル-4,4’-ジピリジニウムヒドロキシド、その塩類及びこれらのいずれかを含有する製剤として毒物に指定されている。
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における固體であり、區(qū)分に該當しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
【參考データ等】
(1)毒物及び劇物取締法において、1,1’-ジメチル-4,4’-ジピリジニウムヒドロキシド、その塩類及びこれらのいずれかを含有する製剤として毒物に指定されている。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
(1)より、區(qū)分1とした。
【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間):0.0006~0.0014 mg/Lの間(JMPR (2003)、ACGIH (2018))
【參考データ等】
(2)毒物及び劇物取締法において、1,1’-ジメチル-4,4’-ジピリジニウムヒドロキシド、その塩類及びこれらのいずれかを含有する製剤として毒物に指定されている。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1)~(3)より、區(qū)分1とした。
【根拠データ】
(1)本物質(zhì)を噴霧した作業(yè)者について、皮膚の刺激と潰瘍が3日以內(nèi)に生じ、腎臓、肝臓、呼吸器の顕著な癥狀が5日までに発現(xiàn)した(ACGIH (2018))。
(2)本物質(zhì)製剤(カチオンを33%含有)について、ウサギ(n= 3)を用いた皮膚刺激性試験(4時間適用、34日間観察)において、極めて軽微な紅斑(スコア:0.7~1.0(フルスコア:4))が3例全例に、極めて軽微な浮腫(スコア:1.0(フルスコア:4))が1例に、剝離?肥厚?痂皮が1例に認められた。72時間後の皮膚一次刺激スコアは0.5であった?;貜亭蓼扦稳諗?shù)は、紅斑では2例が2~3日、殘りの1例が27日間を要した。また、浮腫は7日間、その他の所見は34日間を要したとの報告がある(EPA Pesticides (1997))。
(3)本物質(zhì)製剤(カチオンを33%含有)について、ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験において、2例では4日後に回復する軽度の紅斑を生じたが、殘りの1例でみられた影響は23日以上持続した(ACGIH (2018))。
【參考データ等】
(4)本物質(zhì)を噴霧した作業(yè)者134人に対する調(diào)査において、過去24ヵ月間に皮膚の発疹と火傷(53%)、しぶきによる結(jié)膜炎を伴う眼の傷害(42%)、爪の損傷(58%)の報告があった(ACGIH (2018))。
(5)0.5~2%の本物質(zhì)溶液について、マウスとラットを用いた単回及び21日間反復経皮毒性試験の結(jié)果、用量相関的な中毒性皮膚炎(紅斑、浮腫、剝離、壊死)がみられた(EHC 39 (1984))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1)~(3)より、區(qū)分1とした。
【根拠データ】
(1)皮膚腐食性/刺激性で區(qū)分1である。
(2)本物質(zhì)の6.25~100%の5濃度の溶液をウサギの眼に點眼した結(jié)果、6.25及び12.5%溶液では重度の結(jié)膜反応を生じ、25及び50%では虹彩炎とパンヌスも生じた。50%では角膜混濁、虹彩炎及び結(jié)膜炎が認められた。100%原液を片眼に0.2 mL又は50%希釈液を両眼に0.2 mL投與されたウサギは全例とも6時間以內(nèi)に死亡したとの報告がある(EHC 39 (1984))。
(3)本物質(zhì)製剤(カチオンを33%含有)について、ウサギ(n= 3)を用いた眼刺激性試験(28日間観察)において、角膜影響(角膜の1/4~1/2の領域に軽微ないし軽度の混濁)及び結(jié)膜影響(軽微から重度の発赤及び分泌物、軽微ないし軽度の浮腫)が認められ、角膜影響は17日目までに回復した。結(jié)膜影響は浮腫が14日目、発赤が28日目までに回復したが、分泌物は2/3例で観察期間內(nèi)に回復しなかったとの報告がある(EPA Pesticides (1997))。
【參考データ等】
(4)本物質(zhì)を噴霧した作業(yè)者134人に対する調(diào)査において、過去24ヵ月間に皮膚の発疹と火傷(53%)、しぶきによる結(jié)膜炎を伴う眼の傷害(42%)、爪の損傷(58%)の報告があった(ACGIH (2018))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
(1)、(2)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】
(1)モルモットを用いたMaximisation試験において、皮膚感作性はみられなかった(JMPR (2003))。
(2)モルモットを用いた皮膚感作性試験において、皮膚感作性はみられなかった(EHC 39 (1984)、ACGIH (2018))。
【參考データ等】
(3)本物質(zhì)製剤(カチオンを33%含有)について、モルモットを用いたMaximisation試験において、皮膚感作性はみられなかった(EPA Pesticides (1997))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)、(2)より區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】
(1)In vivoでは、パラコートジクロリド(CAS番號 1910-42-5)を被験物質(zhì)とした試験として、ラットの骨髄細胞を用いた染色體異常試験(単回強制経口投與、パラコートカチオン:15~150 mg/kg)、マウスを用いた優(yōu)性致死試験(5日間強制経口投與後無処置雌と交配、パラコートカチオン:0.04~4.0 mg/kg/day)、ラットを用いた不定期DNA合成試験(単回強制経口投與、パラコートカチオン:45~120 mg/kg)では、いずれも陰性であった(EPA Pesticides (1996))。
(2)In vitroでは、パラコートジクロリドを被験物質(zhì)とした試験として、細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性、マウスリンパ腫細胞L5178Yを用いたマウスリンフォーマ試験で弱陽性(S9+)、ヒトリンパ球を用いた染色體異常試験で弱陽性の結(jié)果と報告された(EPA Pesticides (1996))。
【參考データ等】
(3)パラコートは広範囲のin vitro及びin vivo遺伝毒性試験で陽性、陰性の混在した結(jié)果が示されてきた。DNA傷害や染色體異常をエンドポイントとする試験では共通して陽性の結(jié)果が得られた。パラコートは活性酸素分子種を産生することが知られており、その性質(zhì)が遺伝毒性の原因となっている可能性があると利用可能なデータからは示唆される。したがって、正常な抗活性酸素防御機構(gòu)の機能が損なわれていないならば、遺伝毒性活性が明瞭に現(xiàn)れない閾値が存在する。JMPRはパラコートがヒトに対し遺伝毒性のリスクを有するとは考えられないと結(jié)論した(JMPR (2003))。
発がん性
【分類根拠】
(1)~(4)より區(qū)分に該當しない。なお、新たな情報源に基づき分類結(jié)果を変更した。
【根拠データ】
(1)國內(nèi)外の評価機関による既存分類結(jié)果として、パラコートジクロリド(CAS番號 1910-42-5)について、EPAの初期評価でグループC (IRIS (1988))、のちに農(nóng)薬としての再評価でグループEに (EPA OPP Annual Cancer Report (2020))、パラコート陽イオン(CAS番號 4685-14-7)とジクロリドを含む塩について、ACGIHではA4に (ACGIH (2018)) 分類されている。
(2)ラッを用いた2年間混餌投與による発がん性試験(25~150 ppm)において、初期のEPA評価では高用量(150 ppm)群の雌雄で頭部腫瘍の発生頻度に有意な増加が認められたと報告された(IRIS (1988))。しかし、その後の農(nóng)薬としての再評価において、頭部腫瘍が鼻腔、口腔、皮膚など形態(tài)學的にも生理學的にも異なる頭部の4部位を一纏めにした腫瘍発生頻度として評価されたもので、獨立した各部位別に統(tǒng)計処理した場合には腫瘍発生頻度に有意差は認められず、本物質(zhì)は頭部腫瘍の発生増加を生じないと結(jié)論された(EPA Pesticides (1996))。JMPRの評価では、上記試験において、雄の各投與群で肺腺がんが少數(shù)例にみられ、雌の高用量群では肺腺腫の発生頻度の増加が認められたが、その後に提出されたラットの発がん性試験では肺腫瘍の発生増加は確認されなかった。全體で3つの長期投與試験のうち1試験のみで肺腫瘍の発生増加がみられたことから証拠の重みづけに基づき本物質(zhì)はラットに発がん性を示さないと結(jié)論した(JMPR (2003))。
(3)マウスを用いた35週間混餌投與(12.5~100 ppm)後、投與群には125 ppmを生涯投與した発がん性試験において、腫瘍の発生増加は認められなかった(IRIS (1988))。JMPRの評価でも本試験を含む2試験で本物質(zhì)はマウスに腫瘍発生を誘発しないと考えられると結(jié)論した(JMPR (2003))。
(4)ACGIHは2年間混餌投與によるラットの1試験及びマウスの2試験中1試験で、高用量(ラット:150 ppm、マウス:100 ppm)群で肺腺腫と肺の腺腫様過形成が検出されたが、本物質(zhì)摂取群の肺腺腫の発生頻度は対照群のそれを上回るものではなく、パラコートはラットとマウスの生涯混餌投與後に肺腫瘍の有意な増加を生じなかったと結(jié)論し、A4に分類した(ACGIH (2018))。
生殖毒性
【分類根拠】
(1)では児動物で肺障害による死亡率増加が認められるが、詳細が不明であること、また(2)~(7)のように親動物の一般毒性影響発現(xiàn)量においても懸念すべき生殖発生影響を認めない試験結(jié)果があることを考慮し、分類できない。新たな情報源も利用し分類結(jié)果を見直した。
【參考データ等】
(1)マウスを用いた強制経口及び腹腔內(nèi)投與による発生毒性試験において、催奇形性の可能性は低いことを示す結(jié)果が得られた。パラコートは妊娠後期(妊娠21日)に投與した場合、ラット胎児の肺組織に結(jié)合するが、妊娠初期(妊娠8~16日)の投與では結(jié)合しない。ラットを用いた混餌投與(100~300 ppm)による生殖毒性試験では、受胎への有害影響も出生児に対する発生率、死亡率へ影響もみられなかった。マウスの生殖毒性試験では母動物に125 ppmを投與した結(jié)果、児動物に肺傷害に関連した死亡率の増加が認められた(ACGIH (2018))。
(2)ラットを用いた3つの生殖毒性試験報告(うち1つが(2))があり、全體として親動物及び児動物の毒性のNOAELは各々パラコートイオン換算で1.67 mg/kg/day及び5.0 mg/kg/dayとされた。いずれの試験においても受胎能の低下はみられなかった。一方、ラットとマウスを用いた各々2つの発生毒性試験((3)~(6))において、ラットでは母動物毒性、発生毒性とも最も低いNOAELは、母動物の全身癥狀及び體重増加抑制、胎児の體重低値及び骨化遅延に基づいた1 mg/kg/dayであった。マウスの試験では、母動物毒性?発生毒性ともNOAELはこれより高値であった。ラット及びマウスのいずれの試験においても催奇形性は認められなかった(JMPR (2003))。
(3)パラコートジクロリド(CAS番號 1910-42-5)を被験物質(zhì)としたラットを用いた多世代生殖毒性試験(25~150 ppm:パラコートイオン換算:1.25~7.5 mg/kg/day)において、中用量(75 ppm)以上でF0~F2雌雄親動物に肺胞組織球増多癥がみられ、高用量(150 ppm)群のF0~F2雌親動物には肺傷害(うっ血?浮腫?線維化?硝子膜形成?炎癥性細胞浸潤?過形成)による死亡率の増加が認められた。しかし、高用量群まで生殖毒性影響は検出されなかった(EPA Pesticides (1997))。
(4)パラコートジクロリド(CAS番號 1910-42-5)を被験物質(zhì)とした雌ラットを用いた強制経口投與による発生毒性試験(妊娠7~16日、パラコートイオン換算:1~8 mg/kg/day)において、最高用量まで母動物毒性、発生毒性ともみられなかった(EPA Pesticides (1997))。
(5)パラコートジクロリド(CAS番號 1910-42-5)を被験物質(zhì)とした雌ラットを用いた強制経口投與による発生毒性試験(妊娠6~15日、1~10 mg/kg/day)において、母動物毒性として中用量以上で癥狀(立毛?削痩?円背姿勢)、體重増加抑制、高用量では死亡6例(29ないし30例中)、肺及び腎臓病変が認められたが、胎児には中用量以上で軽微な影響として骨化遅延(前肢と後肢の指骨)がみられたのみであった(EPA Pesticides (1997))。
(6)パラコートジクロリド(CAS番號 1910-42-5)を被験物質(zhì)とした雌マウスを用いた強制経口投與による発生毒性試験(妊娠6~15日、パラコートイオン換算:7.5~25 mg/kg/day)において、顕著な母動物毒性(死亡、全身癥狀(立毛、努力呼吸、円背姿勢、低體溫等)、體重減少/體重増加抑制など)がみられる高用量で妊娠率の低下傾向、胎児に體重低値、骨化遅延(後頭骨、尾中心骨)又は未骨化(後肢の距骨)及び骨格変異(第14過剰肋骨)からなる軽微な範囲の発生影響に限られた(EPA Pesticides (1997))。
(7)パラコートジクロリド(CAS番號 1910-42-5)を被験物質(zhì)とした雌マウスを用いた強制経口投與による発生毒性試験(妊娠6~15日、1~10 mg/kg/day)において、母動物に體重増加抑制がみられる高用量で、胎児に軽微な発生影響(第4胸骨分節(jié)の部分骨化の増加)がみられた(EPA Pesticides (1997))。
(8)妊娠28週及び妊娠7ヵ月目にパラコートを摂取した妊婦2例の癥例報告では母親、胎児ともに死亡したが、死亡胎児からはパラコート中毒に関連した兆候は認められなかった。一方、妊娠20週でパラコートを摂取した母親の癥例では、摂取後も妊娠は維持され出産した。出生児は生後3歳まで追跡調(diào)査されたが、発育に異常は認められず、パラコートはヒトで催奇形性のリスクは低いことが示唆された(EHC 39 (1984))。