急性毒性
経口
本物質と希釈剤とからなる一般流通品におけるラットのLD50値として、484-5,000 mg/kg の範囲內で9件の報告がある。ガイダンスの改訂により、最も多くのデータ (7件) (484 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、484 mg/kg、681 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、681 mg/kg (雌)、926 mg/kg (雌) (SIDS (2009))、1,017 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、1,017 mg/kg (SIDS (2009)) が該當する區(qū)分4とした。なお2件は區(qū)分を特定できないデータであるため該當數に含めずに分類した。
経皮
本物質と希釈剤とからなる一般流通品におけるラットのLD50値として、4,000 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、ウサギのLD50値として、4,000 mg/kg (SIDS (2009)) との報告に基づき、區(qū)分外 (國連分類基準の區(qū)分5) とした。
吸入:ガス
GHSの定義における液體である。
吸入:蒸気
一般流通品 (単量體、二量體、三量體混合物) のラットのLC50値 (4時間) として、200 ppm (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol. 3 (1992)) との報告に基づき、區(qū)分2とした。なお、LC50値が単量體の飽和蒸気圧濃度 (727 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
吸入:粉じん及びミスト
ラットのLD50値 (4時間) として、15.4 mg/Lから> 200 mg/Lの範囲內での7件の報告 (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2009)) に基づき、區(qū)分外とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (0.014 mg/L (二量體) 及び52.3 mg/L (単量體)) のいずれもよりも高いため、ミストの基準値を適用した。新たな情報 (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2009)) を追加し、分類を見直した。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
ウサギを用いた本物質の一般流通品の皮膚刺激性試験が2件報告されており、それぞれ中等度の刺激性と刺激性がみられている。前者の一次刺激スコアは4.5であり、軽度-中等度の浮腫、出血及び蒼白化が72時間後も観察された (SIDS (2009))。後者の一次刺激スコアは6.4であり、軽度-中等度の浮腫、軽度-中等度の出血、局所貧血、重度の浮腫が観察され、7日後まで持続した(SIDS (2009))。以上、一次刺激スコアや所見から重度の刺激性と判斷されるが、非可逆的影響は観察されていないため區(qū)分2とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギを用いた眼刺激性試験が3件あり、本物質の一般流通品の適用によりいずれも極度の刺激性及び腐食性と判斷されている (SIDS (2009))。本物質の5分間又は24時間適用した試験においては、両グループで角膜混濁及び虹彩炎の最高スコアが21日間持続し、その他に潰瘍形成、角膜上皮消失、結膜浮腫、結膜炎等が観察された (SIDS (2009))。また、洗浄なしで本物質の適用した試験においては、角膜混濁及び虹彩炎の最高スコアが7日間持続し、角膜上皮消失、結膜浮腫、結膜炎等がみられた (SIDS (2009))。その他の眼刺激性試験において、視力の欠如、眼球の白濁化、角膜の血管新生、瞼の腫れ、虹彩炎、角膜混濁、パンヌス形成等がみられた (SIDS (2009))。以上の結果より區(qū)分1とした。
呼吸器感作性
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
データ不足のため分類できない。なお、モルモット34匹を用いたフロイント完全アジュバント法の試験 (OECD TG 406) において、回復性の紅斑がみられたが、感作性はみられなかったとの報告がある (SIDS (2009))。
生殖細胞変異原性
ガイダンスの改訂により「區(qū)分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウス末梢血赤血球の小核試験で陰性である (SIDS (2009)、ACGIH (7th, 2001))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性及び陽性、哺乳類培養(yǎng)細胞のマウスリンフォーマ試験、染色體異常試験、姉妹染色分體交換試験でいずれも陽性の結果 (SIDS (2009)、ACGIH (7th, 2001)、NTP DB (Access on July 2014)) である。
発がん性
データ不足のため分類できない。
生殖毒性
ラットを用いた経口経路 (強制) での簡易生殖毒性試験 (OECD TG 421) において、親動物毒性 (體重増加抑制) がみられる用量 (100/75 mg/kg bw/day) で生殖能に対する影響はみられず、新生児では體重低値、體重増加抑制がみられた (SIDS (2009))。
簡易生殖毒性試験の結果が得られたため情報を追加した。その結果、明確な生殖毒性は認められていないが、簡易生殖毒性試験であることから、情報が十分でなく分類できないとした。